つけ台と小まな
鮨屋の調理場を「つけ場」といい、ネタケースとカウンターのお客さんの間にある
傾斜した鮨をのせる台の事を「つけ台」といいます。
江戸前鮨の創草期の屋台店の時代からのもので
「お立ち」(カウンターのお好み鮨)には必要不可欠だったのですが
今ではその姿を変えつつあります。
屋台店の頃はガリは容器に入れ、カウンターに置いてあり、
お客さんが自由に好きなだけつまんでいたようですが、
戦後、一人一人のお客さんに対して、ガリも各人ごとに
つけ台に置くような習慣に変わりました。
昔は鮨を出すたびにつけ台を拭いていたのですが、
ガリをそうして置くようになってから、いちいち拭くことが出来なくなり、
更に、酒のつまみをも置くようになり、お客さんが帰った後は
ガリやツマの残存物、鮨のタレなどが残り、
その後来たお客さんは、片付くまでその汚れたつけ台を
しばらく見ていなければいけませんでした。
今、その代用が、お客さん1人用の「小まな」
(下駄とも呼ばれる小さなまな板)です。
お客さんに不快感を与えることなく、つけ台がないためカウンターも広く使え、
つまみや料理も置きやすくなりました。
鮨だけを粋に食べる時代から、酒を飲みつまみを食べ、
そして最後に鮨を食べる時代に変わり
多種多様なお客様が来られるようになり、
鮨屋も少しずつ形を変えていくのです…。
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