食事の友…田麩(おぼろ)

きくいち

2011年12月03日 10:13

鯛の田麩(でんぶ)を作りました。今回はコース料理のちらし寿司に使います。他に錦糸玉子に鮪などを入れるのであえて色を付けずに作りました。



田麩は、魚肉または畜肉加工品のひとつで佃煮の一種です。日本では魚肉を使うことが多く、江戸前寿司の店ではおぼろと呼んでいて、一部では力煮とも言います。
 
作り方は、まず三枚におろした魚を茹で、骨や皮を取り除いた後、圧搾して水気をしぼってから焙炉にかけてもみくだき、擂り鉢で軽くすりほぐします。その後、鍋に移して、酒・みりん・砂糖・塩で調味し煎りあげるのです。鯛などの白身魚を使用したものに食紅を加えて薄紅色に色付けすることもあります。薄紅色のものは、その色から桜でんぶと呼ばれご飯に振りかけたり、ちらし寿司や巻き寿司の具にします。
甘いでんぶ、皆さんも子供の頃良く口にしたのでないでしょうか…?

昔、病気で食の進まないひとに、土佐節を粉にして、酒と醤油とで味をととのえ供したところ、食欲は進んで病気もなおったと言う伝説もあるようで、田麩は意外に日本人とって欠かせない食材だったのかもしれません。 

田麩とそぼろは同じです。(北海道では田麩もそぼろと言うようです)
そぼろは、豚や鶏の挽肉、魚肉や海老などを茹でてほぐしたもの、溶き卵などを、そのままあるいは調味して、汁気がなくなりぱらぱらになるまで炒ったものです。
そのまま米飯にのせたり、ある種の寿司や弁当の材料として使用されたり、鶏肉のそぼろをダイコンやカボチャの煮物に用いてそぼろ煮にします。
つまりそぼろをより細かくほぐしたものがおぼろ(田麩)です。(そぼろも元来は「粗おぼろ」です)
中国や台湾、東南アジアで田麩を使った料理があるようですが、日本と違い肉田麩がほとんどだそうです。 

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