謹賀新年
新年明けましておめでとうございます。
本年も菊一本店、千歳きくいち、遠鉄きくいちを宜しくお願いします。
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すし屋ワンポイント(カウンター鮨の食べ方)…
「ギョク(玉子焼き)に始まり…」と言うことをよく耳にしますが、これは、玉子焼きがその職人の腕前を計るに最もよい指標とされたためです。(ただし、出来合えの玉子焼きを買っている店では意味がありませんが…)このため、塩締めや酢締めの加減で職人の腕を見ようと、玉子焼きでなく「光り物から」と言う人もいます。
握り鮨の発生期を省みれと元来握り鮨は、屋台食いか持ち帰りでした。屋台の鮨は、気取らない食べ物である上に、二つ三つつまむ軽食で、食べる順序など気にすることもなくありませんでした。後に出てきた高級料理やなみの鮨屋では、職人が別室で鮨を作り、それを座敷に運ばせるのでしたから、職人とお客さんとのやり取りはほとんどないし、お客さんも人目を気にして食べる必要がなく、順序をあれこれ言うようになるのは屋台方式の商売を内店に取り入れた(カウンター形式の店)大正期以降のことだと思われます。この時点で鮨は当初とは違う供され方をしていたので、どの食べ方が本筋であるかを論ずることはおかしな事です。
鮨を手づかみにするか箸で食べるかも同じことで、前者は屋台の食べ方、後者は料理屋での食べ方の違いにすぎずカウンター形式は両者の合体ですから、このこともどちらが正当であるとは言えません。(手づかみの方が食べやすいと思いますが、これもお客様のご自由です)
醤油をシャリ側につけるかネタ側につけるかですがこれもお客様の好みの味加減もありますのでつけ醤油もご自由です(本来の「江戸前風の握り鮨」は鮨ダネはすべて下味がついていましたが、冷蔵技術の向上により下処理を省いて鮮度のいいネタを食べるようになりました。その分、塩気がなくなったため、つけ醤油が不可欠になったようです。鮨飯にはたいした違いはなく、されば、どちらに醤油をつけるべきかは、もはや明確です)
握りをひと口で食べるのも、粋という江戸庶民の気質で、男連中でにぎわった屋台に端を発しているようです。大正から昭和にかけて、当時出始めたカウンター席で鮨をつまむことができた人々は、ある種「特別な人」で彼らが、わが身の身分や特権階級意識を誇示するために、銘々勝手な方式で食べ方を規制づけた結果が「鮨の作法」になったようで個々の人がそれぞれの思いを述べるからこそ「食べ方…作法」には一貫性がなく、諸説飛び交うのです。
つまりカウンターに座っても特に改まった食べ方をする必要があるわけではなく、通例のマナーさえ守っていれば、食べる順番は自由で自分の好きな物から召し上がって、気楽に食事してくださればいいのです。
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