千利休が考案した雪駄

きくいち

2012年09月20日 11:19

男性用の履物は、一般的に雪駄、草履、下駄の3種類です。呉服屋さんや履物屋さんで尋ねても、「男物の草履ことを雪駄といって、どちらも同じ物です。」なんて答える方もいらっしゃいますが、正確には草履と雪駄は違うもののようです。

千利休が考案したとされる雪駄は、畳表の草履の裏底に牛革を貼ったもので、かかとにつけた皮の部分に金属製の鋲が打ち込まれているものです。草履は通常、表の台と底張りとの間に一枚芯が入れてあるもので、裏底の素材もクローム底です。ですから、一般的には草履の方がかかとも高めなのだそうです。

草履は、日本の伝統的な履物の一つ。明治時代以降に洋靴が普及するまで広く使用されていた。現代日本においては主に和装時に履く。下駄よりも格式があり改まった履物とされています。
雪駄、雪踏(せった)は、竹皮草履の裏面に皮を貼って防水機能を与え、皮底のカカト部分にプロテクター(後金)がついた履物(草履)の一種で、痛みにくく丈夫で、湿気を通しにくい。

雪駄の歴史は諸説あるようですが、千利休が水を打った露地で履くためや、下駄では積雪時に歯の間に雪が詰まるため考案したとも、利休と交流のあった茶人丿貫の意匠によるものとも言われているようです。(主に茶人や風流人が用いるものとされたが、現代では男性が着物を着る場合はほぼ雪駄が用いられる)江戸時代には江戸町奉行所の同心がかならずばら緒の雪駄を履いており、「雪駄ちゃらちゃら」(後金の鳴る音)は彼らのトレードマークだった。



(私は雪駄派です…女将がプレゼントしてくれた高級素材ホースヘアを使用した男性用雪駄です。ホースヘアを足を乗せる部分に使用しているので足裏が滑りにくく、生地の表面も丈夫です。粋に履きこなしすには最高です)

大和工房は草履や鼻緒の産地、奈良県三郷町で今も熟練した職人の手仕上げにこだわる工房です。鼻緒の位置や天板の形状にもこだわった職人技が光る逸品で足馴染みもよく、歩きやすくて疲れにくい普段使いにもお勧めです。(鼻緒は、鹿革に漆加工を施した伝統工芸品で鼻緒の先端部分を中央よりやや内側に付け、小指が天板より出にくく配慮されています) 

最近では鼻緒付きの履物が足の鍛練に効果があるという意見から、子供らに下駄や草履をはかせることが注目されているようです。鼻緒を挟み、台を踏ん張るため足の筋肉が鍛えられ足裏の土踏まずの形成や外反母趾の予防にもよいとされ、裸足教育として幼稚園・保育園・小学校などの施設で指定の履物にするところもあるようです。

学校納入用では奈良県の三郷町で生産される製品、健康草履「ミサトっ子」や高知県で生産される竹皮草履があるようで基本的に素足で履くことが多く、足が蒸れないという効用もあり、裸足教育で取り入れる場合は必ず素足で履くよう取り組んでいるそうです。

靴底の厚い高いスニーカーなどは草履に比べ履いた時の安定性が悪く、更に底が不均一に磨耗した場合、より傾きX脚やO脚、「ハの字」や「Vの字(逆ハの字)」歩きを誘発したり悪循環を助長すると考えられ、草履はスニーカーなど靴の変形進化した履物と比較して足腰の安定、強化や美脚に良いと言われます。

また、転び易い、長時間起立出来ない、歩行で疲れるといった子供が昔と比べ増えているようですが、草履などは靴・スニーカーなどと違い足を包み込まず開放的で足そのものが幅広く成長し、広い足の裏の面積でより安定した支えをするためこの点でも健康に良い履物と言えるのではないでしょうか…?一方、まったくの裸足で生活する人が多く、産業や医療が未発達なケニアでは、足の傷からの感染症を予防するために、日本人が現地の材料で手作りできる草履の製法を導入し、好評を呼んでいるとか…  

雪駄の履き方… 
●基本はかかとを少し(1~3cm)出して履きます。それは和装スタイルが影響しています。着物のときは摺足に近い状態で歩幅を狭く歩くのが基本であり、履物が大き過ぎると歩き辛くなり、美しく歩けません。着物を着て自然体に美しく歩く為には、かかとが出るぐらいの履物がちょうど良いということです。

●正装の場合は先坪まで指股を深く入れて履き、カジュアルに「粋」に履く場合は、指先だけで花緒を軽く引っ掛ける程度で履きます。

●足を入れるとき、花緒がよじれない様に気をつけてください。雪駄は一度履くとその人の足の癖がつきますので、最初の足入れが肝心です。一度よじれるといつまでも花緒が裏返り易い癖が残ります。

●天板の中央に花緒が挿げられており、通常左右の区別がありません。左右を入れ替えて履くことができるので、内側だけ(外側だけ)が減るといった足癖による片減りを避けられます。その為、通常小指は雪駄からはみ出るようにして履きます。

●雪駄は、水に弱い履物です。当初は水や雪の時に履くために考案された雪駄ですが、あくまでも草履や下駄に比べて優れているに過ぎません。水に浸かるような状態だと、底がはがれたり、鼻緒が抜けたりしますので、直接水の中に入れないよう注意が必要です。
   
気軽にそして美しく皆さんも雪駄を粋に履きこなしてみてはいかがですか…

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