印籠鮨(イカの印籠詰め) 

きくいち

2013年01月26日 11:15

「静まれ、静まれぃ! この紋所が目に入らぬか…!」と葵の御紋の印籠を掲げて「こちらにおわす御方をどなたと心得る! 畏れ多くも前副将軍水戸光圀公にあらせられるぞ、 一同、御老公の御前である、頭が高い! 控え居ろう…!」の決め台詞で知られる、ロングセラーの時代劇TVドラマシリーズ「水戸黄門」は1969年に放送を開始し、42年、43部、1227回の 放送を数え、世界でも類を見ない長編TV番組でした。

今日はその印籠について…はたして印籠の中身は…? 

印籠は自分の常備薬を入れておく携帯の薬入れなのです。しかし、印籠の印は文字どおり印鑑のこと。元々は印鑑や朱肉を入れて持ち歩くためのものでした。本来、薬入れのほうは薬籠と言って区別していたのですが、いつの頃からかごっちゃになり江戸時代には両方とも印籠と呼ばれるようになったようです。印籠は木を削って原型を作り、漆を塗って作るのですが、蒔絵、堆朱(ついしゅ)、らでん等の様々な手法がつかわれ、デザインもとても凝っていました。江戸時代には武士の帯飾りとしての役割もあったそうです。印籠は最先端の男性のファッションアイテムだったのですね。

日本料理にも、この印籠を模して、中に素材を詰め込んで煮たりする料理があり、それを「印籠煮」と呼びます。そのバリエーションはたくさんあり、中でもイカの印籠煮などは、お手軽で作るのも楽しいのです。このように日本料理用語で、野菜やイカなどの中心部に具を詰め込むことを印籠(射込み)と言いますが、寿司にも「印籠寿司」があり、寿司飯に椎茸、干瓢 、もみ海苔などを混ぜ込み、イカの胴や竹の子などの空洞に寿司飯を詰めたものを、寿司の分類では「印籠寿司」 に分類されます。ちなみに、稲荷寿司も油揚げの中に 寿司飯を詰めるので印籠寿司に分類されます。



江戸前の印籠寿司の特徴は、刻んだ干瓢やガリ、もみ海苔などを混ぜた寿司飯を煮イカの胴に詰めて、煮ツメをかけます。イカの印籠詰めとか詰めイカとも呼ばれています。

その他の印籠と言われる料理…

印籠漬け…白瓜や胡瓜の芯を抜いたものに紫蘇、キャベツ、唐辛子の一塩を詰め、押し漬けしたものを小口に切りして切り口を見せる。
印籠蒸し…上と同様のものを蒸す。
印籠煮…印籠を模って中に素材を詰め込んで煮たもの。(印籠瓜、印籠湯葉、印籠若芽など)また、鰯や鰻の印籠煮がありますがこちらは古来からの保存食で、素材を炊き上げ、旅道中の印籠に入れて持ち運んだ事からその名前付けられたようです。

高野豆腐を戻して半分に切って厚みの中央に切込みを入れ、みじん切りにした玉葱と人参を挽肉に加えてよく混ぜて切り込みを入れた高野豆腐に詰めまて煮た、高野豆腐の印籠煮は私の好物でお酒のつまみにもピッタリです。
 
余談ですが茨城の水戸に、納豆に黄門様と言う、地元を代表する2大要素を盛り込んだ「印籠弁当」と言う、ご当地駅弁当があるようです。
印籠をモチーフにした容器は二段重ねになっていて、上段には、古くは徳川光圀公も愛食されたと伝わる、しょぼろ納豆(納豆に醤油風味の大根の漬物を合わせた名物品)や、しゃぶしゃぶ風に仕立てた茨城豚が入っていて下段は、県産のコシヒカリ・黄門米を蜆や浅利の出しで炊き込み、海老や梅干、栗を彩り豊かにのせたちらし風のご飯だそうです。
地元茨城県産の食材をふんだんに使った郷土色の強いメニューが楽しめるようですから、もし水戸に行く機会があったら皆さんも食べてみてはどうですか…?。

薄味のていねいな味付けが、素材の旨味とコクを引き出す上品な駅弁だそうですよ

 

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