干物を美味しく焼くには…

きくいち

2015年10月05日 15:58

干物の美味しい焼き方は、表面は程よく香ばしく歯ごたえがあり、中身はとってもふっくら柔らかな状態に焼き上げる事です。昔から「川魚は皮(川)から、海魚は身(海)から」と言われているように、焼くときは身のほうから焼きます。
干物を上手に焼くには、出来るなら、七輪の炭火で、強火の遠火が理想なのです。奥能登に、まぼろしの七輪を販売しているところがあります。珠州市の又次の七輪と呼ばれ、珪藻土を切り出して作る、本物の七輪です。干物焼き専用もあるそうですよ。



焼き魚は「強火の遠火」と良く言われますが、それは、七輪を使って炭火で焼く場合や、業務用のコンロの場合で、輻射熱を利用できる場合です。通常の家庭用ガスコンロや魚焼きグリルの場合、火力が強すぎることと、遠火にできにくい為、「強火の遠火」ならぬ「強すぎる火の近火」になってしまいます。こうなると、魚は、表面は一気に焦げ付きますが、中は火が通らず、生焼けという状態になってしまいます。

では、七輪を使って焼くのが良いかと言うと、確かに、七輪で強火の遠火で焼くと見た目もきれいに、美味しく焼きあがりますが、七輪を使うのは、時間的なことや、住宅環境などにより難しいですよね。

石綿のひかれた焼き網や七輪で強火の遠火が理想的ですが、グリルやコンロでの焼き方も、工夫をすればそれなりに美味しく焼けます。今日はガスコンロやグリルを使って魚、干物一夜干しを焼くときに、ちょっとしたコツで炭火で焼いたのと同じような、見た目もきれいで、美味しく焼ける方法をご紹介します。

基本的に干物は身の方から焼き始めます。焼き時間の割合は身側8:2皮側が目安です。裏返したら火加減も弱火にし、焼き色がつく程度に炙る程度で大丈夫です。裏返すタイミングは7割方色が変わる、皮から脂が出て泡立つなどの変化がみられた時。(何度もひっくり返したりしない事、裏返しは最後の仕上げです)

・イカは焼き過ぎると身が固くなります。一夜干しですのでレア気味が一番美味しく頂けます!丸まってしまうので、両サイドに切れ目を入れておくと良いです。また食べ易いよう、カットして焼いてもOKです。

・フライパンを使用し焼く場合は不燃性のクッキングシートを使います。魚から脂が出るので油は使いません、フライパンにシートを乗せ干物を焼きます。

・最近は魚用のくっつきにくいアルミホイルも売られていますので、網の上にそれを敷いて焼くのも簡単です。

・フィッシュロースターで焼く場合も事前に2分程度暖めておく事。上火で身を上にして焼きます。

・器具によって焼き時間は変わりますが、焼き過ぎには十分注意しましょう!干物は水分が少ないので焼き過ぎるとパサパサになってしまいます。

・熱々の焼きたてが一番美味しいので、まずは何も付けずお召し上がり下さい。塩分控えめで絶妙な塩加減が素材の良さを活かしています。物足りない方はほんの少しお醤油を、大根おろしで頂くのもお勧めです!

・干物は素揚げやムニエル、天ぷらにしても美味しく頂けます。バーベキューなどにもお勧めですよ

・あじやカレイなど身が薄い魚は冷凍のまま焼いても大丈夫ですが、ほっけやサバなど身が厚い魚ですと中心まで火が通りきらず皮だけが焦げ付いてしまう事があります。基本的には解凍してから焼いて下さい。

・解凍は冷凍庫から冷蔵庫に移し5時間程度で解凍出来ます。賞味期限は解凍後5日以内ですが、なるべく早くお召し上がりください。美味しさが違います。 

天日干しは干物にする為に開いた部分に皮みたいな「膜」が出来ています。実はこの膜にうまみ成分が集まっていて機械干しより天日干しの方が厚くなるのだそうです。さらにこの膜の厚いほうがかみ締めた時の触感に弾力感がありこの旨味と身がミックスされて「天日干し」はやっぱり美味しい!!と感じます。

自然の太陽、潮風そして昔ながらの無添加・天日干し製法でこだわりの職人の、一枚一枚の手作り。その日の天候を考えて作られる干物だからこそ美味しいのです。盛り付けは皮側、身側どちらを上にしても結構ですが身側を上にしたほうが食べやすく一般的です。
 



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