JRA古馬最強を決める伝統の一戦、第153回GI天皇賞・春が昨日、京都競馬場3200メートル芝を舞台に行われ、武豊騎乗の2番人気キタサンブラックが優勝しました。キタサンブラックのオーナーは歌手・北島三郎さんが代表を務める(有)大野商事。同馬は今回の勝利でJRA通算10戦6勝。重賞は2015年GI菊花賞、同GIIスプリングステークス、同GIIセントライト記念に続く4勝目で、騎乗した武豊は2006年ディープインパクト以来10年ぶりとなる天皇賞・春7勝目、春・秋合わせて12勝目となりました。
キタサンブラックは好スタートから先手を取ると、池添謙一騎乗の13番人気カレンミロティックとの叩き合いをハナ差制し、昨年10月の菊花賞以来となるGI2勝目を飾った。良馬場の勝ちタイムは3分15秒3。なお、2着カレンミロティックから1馬身1/4差の3着に福永祐一騎乗の3番人気シュヴァルグランが入線。1番人気に支持されていた吉田隼人騎乗のゴールドアクターは12着に敗れました。
菊花賞後には、こんな感動した日はありませんと北島さんは語っていましたが、この天皇賞・春はその感動を上回る勝利だったのだろう。そして、しきりに武豊に歌のマイクを譲ろうとしたことについて、こんな思いを明かしました。「いったんは抜かれたんだけど、でも差し返した。さすが名手の腕、今日は武さんの力で勝てました。それで武さんの顔を見ていたら嬉しくなって歌ってしまったんですが、今日は武さんと一緒に歌いたくなったんです(笑)」
サブちゃんのこのムチャぶりにはさすがの馬上の百戦錬磨も遠慮したため、豪華デュエットはなりませんでしたが、「今日の主役は自分ではなく武豊だ」、この思いを歌手らしく一緒に歌うことで表現しようとした。それほどまでに、キタサンブラックを勝利に導いた武豊の騎乗ぶりは、北島さんを心底シビれさせたのではないでしょうか…?。それと同じく淀に集まった8万弱のファンすべても…?
「内枠がほしいなと思っていたので、1枠1番は良かったですね。ただ、ゲートの駐立が得意な馬じゃないので、特に位置取りは決めずにいました。でもいいスタートが切れましたし、ゲートを出てからは迷いはなかったですね」 武豊の言葉通り、キタサンブラックは好発を切るとそのままスッと先頭へ。無理に競りかけてくる馬もなく、最内枠を利したコース取りでペースを握ると前半1000メートルの通過は1分1秒8、半マイルは1分38秒3、そして2000メートルが2分3秒5。
「すべて思い描いていた通りにレースを運べましたね。リラックスして走ってくれましたし、4コーナーに向くまでいい形でした」天才自らも納得したこのペースメーク。こうなると後続は手も足も出ず、4コーナー手前から仕掛けてきた1番人気ゴールドアクターの方がむしろ手応えは悪い。そして、キタサンブラックが最後の直線で一気に突き放しにかかるが、ここで思ってもいなかった伏兵が突如として台頭する。それがキタサンブラックの後ろで虎視眈々と脚をタメていたまさかの8歳馬カレンミロティックだった。
猛然と襲い掛かってくる古豪の前に、いったんは後れを取ってしまう。末脚の勢いから見ても、キタサンブラックはここまでかと思われた。だが…「まだ(手応えが)残っている感じがしたんです。差し返せるな、と」 武豊のゲキに再び火がついたキタサンブラックは、逆に今度はカレンミロティックを内から追い詰める。そして、激しいつばぜり合いの末に、4センチだけ競り負かしたところがゴールだった。
「たぶん、勝ったんじゃないかと思いましたが、ハッキリとは分からなかったので着順が出るまでドキドキしていました(笑)。北島さんと抱き合ったときにはお互いに言葉にならない感じでしたね」武豊自身にとっても、これが2006年ディープインパクト以来となる天皇賞・春V。「平成の盾男」もこの10年、栄誉からは遠ざかっていた。それだけに、「天皇賞はどうしても勝ちたいと思っていました。歴史や重みのあるレースを北島オーナーの馬で勝てたことは本当に嬉しいですね」、表彰式で語ったこの言葉には10年分の思いも込められていたのだと思う。
演歌と競馬のレジェンドがタッグを組み、そして、競馬界の最高峰である天皇賞・春を制覇。一見、出来すぎた話ではあるけど、サブちゃんと武豊ならそれがまったく嫌味にならず、最高に“絵”になるのだから、これがスター性というものなのだろう。「馬主をして50年以上になりますが、実は昔、偶然にも自分が持っていた馬の中に“タケユタカ”という馬がいたんです。その子供たちがずいぶんと走りましてね、だから武豊さんには機会があったら自分の馬に乗ってもらいたいと、ずっと思っていたんです」 そんな北島さんの思いに、北村宏司の負傷離脱により大阪杯に続いて手綱が回ってきた武豊も「大役だと思っていた」という。その大役を見事に果たしたことで、2016年の天皇賞・春は競馬史に燦然と残る1ページとなった。
また、チャンピオンホースを数多く生み出してきた菊花賞、天皇賞・春の伝統GIをダブル制覇したことで、今後キタサンブラックが背負う“大役”もますます大きくなってくる。「まずひとつ、何かを成してから」という北島さんの方針により、この後の具体的な目標は決まっていないが、順調ならばグランプリ宝塚記念、その先には春秋制覇を目指す天皇賞、いや、海外遠征だって可能性がないわけではないだろう。キタサンブラックとサブちゃんの夢は広がるばかりです。
【天皇賞(春) 結果】
教訓 「春の京都はやっぱり内枠」
レース内容としては、最内枠からスタートを決め、コーナーに入るまでに先頭に立つ気がある馬が出てこなかったので豊騎手は「逃げ」を決め込んだ気がしました。
ラップタイムを見てみると、入りの1000mが1’01’8。早すぎるわけでも遅すぎるわけでもない。豊騎手が逃げるときによくある「全くの平均ペース」逃げるのにも、先行するのにも、差し馬にも不利がない、しかし実は緩みがない分、追走する側はどこでギアを上げるか判断するのも難しい、逃げ馬には利にかなったペースだったラップタイムでした。
最初の1ハロンから2ハロン目までで13.0というラップタイムがあったものの、(ここで豊騎手は他の出方を伺ったが行く気がある馬がいないと見た)以降13秒台のラップはなくまして2週目の3コーナーからゴールまで11秒台ラップが続き、これでは差し、追い込み勢は追い上げるのに脚を使わざる得なくなるユタカマジックによる絶妙なペース配分だったと思います。
直線は池添騎手の③カレンミロティックとの激しい叩き合い。一旦は完全に池添騎手が前に出たもののゴール直前に差し返してきて、ほんの少し前に出たところがゴール。計ったような3200m。その昔、マイルCSにて一旦は完全に抜け出したバンブーメモリーを残り50mから驚異的な差し返しを見せたオグリキャップを思い出させるような、ゴールシーンでした。
勝った①キタサンブラック、絶好の①番枠に入った時点で運が来てると思いましたが、それを生かしきった豊騎手の技量も素晴らしかったし
平均ラップを淡々とこなす操縦性の高さと何より、ゴール直前に見せた勝負根性。これがこの馬の最大のセールスポイントなんだと思います。
無駄な力を使わず走ることができるところが、血統的にスタミナ色が薄い部分を補う要素で中距離から長距離まで幅のある距離融通性に繋がっていると言えると思います。
この手のタイプはどういうレースになっても過去の成績どおり、大崩れしないタイプで今後もGI路線で活躍が見込めると思います。
2着の③カレンミロティックは本当に惜しい競馬で、内容的には勝ち馬と互角か、それ以上の競馬だったと思います。持てる力は十二分発揮したレースでした。足りなかったのは運だけと言っても言いすぎでは無いような8歳馬とは思えない素晴らしいレースをしてくれました。しいて言うなれば、シュッと抜けきる脚があれば一旦抜け出した時に、1馬身くらい抜けてれば勝ちきれたんだとは思いますが、それがあったらおそらく
とっくの昔に、G1の1つや2つ勝ってたんでしょうけれど
3着⑧シュヴァルグラン…上昇馬らしいいい脚は使っていたと思います。真中団からの競馬も、祐一騎手がこの位置でないと届ききらないという判断からでしょうし捕らえきらなかったのは、上位2頭が想像より脚を残していたからに過ぎず、上位2頭のラスト1ハロンが12秒台に落ちていれば、差しきりもあった展開だったと思います。個人的にはまだ好走できる下地はないと思って無印にしてましたが、思ってたよりも力はつけてると上方修正するべき馬だと思いました。
1番人気の⑰ゴールドアクターについて…思った以上に外枠が響いたというレース後のコメントでしたが、この馬初めての外枠だったんですね。(日経賞は9頭立てだったので参考外)レース後に気がつきました。今まで中枠より内側からしかレースをしておらず好位に取り付くには力を使うことない競馬をしていたのが外枠になったことで位置を取るには力をつかうことになるので今回は出たなり競馬をすることになり、結果いつもより位置が後ろになったため初めてまくり競馬をすることになったのです。馬も今までとレース展開の違いに戸惑い直線向いて走る気がそげてしまったんだと思います。G1を含め5連勝した馬なので能力はあると思います。しかし、競馬が難しいものだと思ってしまってレースに嫌気が差して、成績が下降してしまう馬も今まで何頭も見てきました。この馬の今後はそういうポイントも見つつ買い時の判断はしていかないと、そんな風に思いました。