「もつ鍋」「水炊き」だけじゃない…九州ご当地鍋

きくいち

2017年01月20日 16:02

ご当地鍋を12月から何日かにかけて紹介してきましたが、最後は九州です。九州には、博多を代表する「もつ鍋」や「水炊き」はじめ、大分、鹿児島、長崎・壱岐島などに、バラエティ豊かな鍋料理がたくさんあります。今日は最後にその特徴を紹介します。

ご存じ九州を代表する鍋と言えば「もつ鍋」



「ダイエットにも美容にも良い」と注目を集めたもつ鍋。 ホルモン好き女性がホルモンヌと呼ばれるほど、一世を風靡しましたが、いまや全国的にすっかり定番鍋の仲間入りを果たしました。もつ肉はコラーゲンたっぷりでカロリーは牛カルビの2分の1、ビタミンC・ビタミンB群は牛カルビの約15倍。まさに健康美食にふさわしい食材と言えます。もつ鍋は戦後、ニラと一緒にホルモンをアルミ鍋で炊いて食べていたのがはじまりと言われています(醤油味、味噌味)

皮や骨付き鶏肉のぶつ切りを使う「博多水炊き」



鶏がらをじっくり煮込んで作られた白濁の鶏がらスープが特徴的な、博多ならではの鍋料理。ポン酢や柚子胡椒などで味付けしていただきます。

具だくさんの大分のソウルフード「だんご汁」


だんご汁は、野菜などの具をたっぷり入れた味噌ベースの汁に、小麦粉のお団子を入れた大分のソウルフード。熊本ではだご汁ともいいます。

やせうまとだんご汁


大分を代表する郷土料理が「だんご汁」と「やせうま」。だんご汁は平たく言えば具沢山のお味噌汁に、小麦粉ベースのおだんごをいれたもの。年間を通して晩ご飯の中心で、麦ご飯や冷やご飯1杯で、だんご汁を3杯ほども食べられていたそう。いまでは大分の飲食店やお祭りの屋台等で食べることができます。



また、一緒に作る「やせうま」はだんご汁のだんごと同じものを、きな粉モチのように仕上げたもの。
やせうまの由来は平安時代、京から落ちのびてきた若君がうばの八瀬に「やせ、うまうま」とおやつをねだり、八瀬が作りだしたところから「やせうま」と呼ばれるようになったとか。
今では七夕やお盆などの特別な日には欠かせないおやつになっているそうです。

島原の乱にゆかりがあるとも伝えられる長崎・島原半島の「具雑煮」


島原藩領だった島原半島一帯の郷土料理。島原の乱の際、天草四郎率いる一揆軍が、農民たちに餅を兵糧として貯えさせ、ありあわせの具材を集めて雑煮を作ったのが起源ともいわれています(具は白菜、コンニャク、里芋のほか、ゴボウ、シイタケ、凍豆腐、玉子焼きやちくわ、かまぼこ、穴子、鶏肉、鰤など様々なものが用いられます) 各素材をダシに入れて煮込みます。 頃合をみて丸餅を加え、柔らかくなるまで煮込みます。 長崎の雑煮は丸餅を煮るか焼いて用います。 仕上げに醤油で味付けをします。 地域によっては砂糖を加え、若干甘めに仕上げることもあるそうです。

闘鶏で負けたさつま鶏を使ったのが起源といわれる鹿児島の「さつま汁」


江戸時代の薩摩藩で、闘鶏で負けたさつま鶏を骨付きぶつ切りにして肉と野菜を一緒に煮込んだのが起源といわれる、鹿児島の鍋料理。体がほかほか温まります。

長崎・壱岐島の伝統的なおもてなし料理「ひきとおし」


玄界灘に浮かぶ長崎県の壱岐島で伝統的に供されていた、おもてなしの鍋料理。昔、島で鶏肉が一番のごちそうだったころ、客人のために庭で鶏をつぶし、奥に“ひきとおし”て出したことが起源といわれています。かつては砂糖も貴重品だったため、今でも甘い味付けなのが特徴的です(醤油出汁… 鍋に油を熱し、鶏肉・ごぼうを炒めてだし汁を加え、しょうゆ・塩・砂糖で好みの味をつける。鍋が煮立ったら豆腐・えのき・ねぎ・春菊・そうめんなどを適宜入れる。 鶏だけでなく、鶏と魚、魚だけの場合もある)

九州は温暖なイメージがあり、アツアツの鍋料理があまり想像できないと思いきや、意外と各県で特徴的な郷土鍋料理がありました。白濁してコラーゲンたっぷりの博多の水炊きや、鹿児島の豪快な闘鶏のぶつ切り鍋、天草四郎ゆかりの長崎・島原地方の雑煮など、それぞれの土地柄を反映していて、訪れたらぜひ食べてみたい料理ばかり。まずはお取り寄せやレシピを頼りに、ご家庭で楽しんでみるのもいいですね

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