鮭の腎臓と塩だけで漬込んだ珍味…めふん
今日はのんべえにはピッタリなお酒のつまみを紹介します
アイヌ語の「メフル=じんぞう」が語源の鮭の腎臓珍味です
世界中を探しても腎臓料理はそれほど多くありません。腎臓は鮮度落ちが早く調理技術が問われるからです。フランスでは仔牛の腎臓料理「ロニョン・ド・ボー」の出来で、料理人の腕と店の格がきまるとか…
日本では、マグロやカツオの腎臓を、ねぎや生姜などと一緒に細かく叩いた「たたき」(サク採りした身を炙るたたきとは別もの)がありますが、腎臓と塩(醤油)しか用いない料理は「鮭のめふん」だけです。めふんという名前は、アイヌ語で腎臓を意味する「メフル」が転訛したものといわれ、漢字では「女奮」という字を当てています。鉄分を多く含むので、貧血気味の方の健康食品としてもおすすめです
「延喜式」にも記述された鮭の背わたの塩辛「めふん」
延喜二十年(920)、左大臣藤原忠平を中心に、我が国最初の行政要覧「延喜式」全50巻が二十二年の歳月を費やして完成しました。 内容は、儀式・年中行事関係の規定、諸国から京へ運ばれる物品や運送日数などの規定、公文書の書式など、政務の運営に不可欠なものです。 この延喜式の中に、鮭の「楚割」とともに、鮭の背わたの塩辛「めふん」の記述があり、当時すでに都へ租税として納められていたことがわかります
(めふん醤油漬け)
鮭一尾から盃一・二杯の珍味
めふんは、鮭の背わた(腎臓=血合い)を丁寧に取り出して塩や醤油で漬け込み、塩角が取れ、生臭みが抜けるまで、じっくり熟成させた珍味で「女奮」という漢字を当てています。 鮭一尾から盃一~二杯しかとれない珍味中の珍味として古来から珍重され、とろりとした濃厚なうま味は、鮎うるか、このわた、鰹の酒盗などと並ぶ左党垂涎の酒肴。 めふんがあればお酒は何杯でも飲めると豪語する方もいます。 また、鉄分を多く含むため昔から貧血気味の方の健康食品としても用いられています
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