灯明(とうみょう)・仏花(ぶっか)の意味
お仏壇の灯明(とうみょう)やお仏花(ぶっか)には何か意味があるのでしょうか
「灯明(とうみょう)」とは、お仏壇に灯す明かりをいい、阿弥陀仏の計り知れない「光明」を表しています。光明とは智恵ともいい、仏さまのお力をいいます。「仏花」は、仏さまにお供えする花のことで、阿弥陀仏の「慈悲」を表します。
仏さまは、智恵と慈悲の両面もたれた方と教えられます。その仏さまの智恵を「灯明(とうみょう)」で表し、慈悲を「仏花」で表しているのです。
仏花…智恵とは、私たちの先の見えない暗い心(仏教では「無明の闇」という)を明るい心にする働きがあります。慈悲とは仏教で「抜苦与楽(ばっくよらく)」といいます。
慈=抜苦 悲=与楽
苦しんでいる人がいたら放っておけない、苦しみをなくしてやりたい心が慈悲の「慈」、楽しんでもらいたい、幸せにしたい心が慈悲の「悲」です。
親の慈悲といえば、親の子供に対する抜苦与楽の心をいいます。仏さまの慈悲を「大慈悲」といい、人間の慈悲を「小慈悲」といわれます。
どうして人間の慈悲を小さな慈悲、「小慈悲」といわれるのでしょうか 人間の慈悲には3つの特徴があるからです。
1.気持ちが続かない
2.平等ではない
3.よかれと思ってやったことがかえって相手を苦しめることがある
それに対して、仏さまの慈悲は
1.変わることがない
2.すべての人に平等にかかる
3.智恵にうらづけられているので、相手を苦しめることがない
この仏さまの慈悲を「大慈悲」といい、「仏花」で表しているのです
予備知識…
枕勤め(臨終勤行)について…枕勤め(枕経)とは、臨終に際し、亡き人と共にご家族が、お内仏(仏壇)のご本尊にお勤めをすることです。身近な方の死は、悲しみも非常に深く、不安になることも多いかと思われますが、私たちに「真実」に目覚めよと願い続けている、阿弥陀如来のはたらきに目覚める機縁となるお勤めです。
通夜について…通夜とは、ご遺族をはじめ故人さまとご縁のある方々が夜を通して、大切な亡き人を偲び、お互いに語り合い静かにご遺体を見守るということが本旨です。身近な人の「死」という事実を受け止め、我が身の「生」について深く考える場として、最後の夜を迎えることが大切な意義となります。
葬儀について…葬儀とは、亡き人との最後のお別れの儀式であると同時に、これまでお育ていただいたことに「感謝」の念を申し上げる場です。仏さまと成られた亡き人と改めて出遇い直す時、この私も「諸行無常」の身であることを知らされ、「死」と共にある「いのち」を教えられるのです。大切な亡き人をご縁として、その悲しみの中から、一人ひとりの存在の尊さや深さを見つめ直す「仏事」なのです。
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