昨日はお昼に久しぶりにピッツァを食べました
ナポリピザの基本は「マリナーラ」と「マルゲリータ」の2つです。違いと言うと日本の伝統的なお蕎麦屋さんで良くみる品書き「もり」と「ざる」と似たような感覚だと思うと、想像しやすいかも知れません
ナポリのピサと言えば、マルゲリータが最も有名かと思います。マリナーラは、マルゲリータの原型です。ピザの始まりは生地にラードを塗って焼きながら店先や屋台で売られていたシンプルなものでした。生地を薄く延ばしてつくる「フォッカッチャ」です。ピザに似た食べものが登場したのは1660年頃でした。ピザ生地にラードとバジリコ、チーズをトッピングしたもので、バジルコにちなんで「マストゥニコーラ」と呼ばれていたのだとか
トマトソースが使用されるようになったのは1750年頃からです。それまで観葉植物でしかなかったトマトがイタリア南部で栽培されるようになったことがきっかけとなります。この当時、ナポリはスペイン領。苦しい生活を続けている人々も多い時代でした。次第にトマトをパンに乗せて食べる庶民の食スタイルが定着していき、ピザにも応用されるようになったというわけなんですね
マリナーラは1750年ころに出来上がったピッツァです。内容は至ってシンプルで生地にトマトソースをのせてオイルをふっただけの簡単なものです。チーズやアンチョビなどの具材は使用しません。 現在では、トマトソースにオレガノやガーリックをトッピングしたマリナーラもよく見かけるようになりました。(マリナーラの名前の由来…イタリア語でマリナーラ=「漁師風」という意味です。ナポリ湾を拠点とする漁師たちが立ち寄ったパン屋にリクエストして作らせたのがマリナーラの始まりだと言われています)
また、現在イタリアでピッツァの代名詞的存在とされる「マルゲリータ」の誕生は1889年。イタリア統一を果たした王女マルゲリータのナポリ訪問を歓迎してピッツァ職人エスポースィトが献上したことによる、と今日に伝えられています。言わずと知れた、ピッツァ・マルゲリータです。イタリア料理でも定番中の定番ですが、実はこれもマルゲリータ王妃に由来するもので、諸説ありますが、ナポリのピッツァ職人が国王ウンベルト1世とマルゲリータ王妃の夫妻をもてなすため、イタリアの国旗の色である赤・白・緑を模して作ったピッツァを王妃が気に入ったというのが有力な説のようです
このほか、イタリアの老舗自転車メーカーである「ビアンキ(Bianchi)」が歴史上初の女性用自転車を王妃に献上したとか、同社のブランドカラーである空色は王妃の目の色をモチーフにしているとか、なにかとトピックの多いマルゲリータ王妃。こうしたエピソードの多さからも、国民から慕われていたことがうかがえます
ピッツァ・マルゲリータは生地の上にトマト、モッツァレラチーズ、オイル、バジリコの葉をのせて焼いただけのシンプルなピッツァで、偶然ではありますが、トマトの赤、モッツァレラチーズの白、バジリコの緑がイタリアの国旗をイメージさせます。美味しいだけでなく、緑、白、赤の3色の色合いがイタリア国旗を思わせるのも、ナポリ庶民に愛される理由の1つだったのかも知れませんね
ナポリの人々にとってピッツァはごく自然に暮らしに溶け込み、人気が高くても珍しいわけではない庶民的な食べ物。シンプルで美味、安い、立ったままでも食べられる、消化しやすい、ボリュームがあって栄養価も高い…等々、さまざまな魅力を兼ね備えているからこそ、ナポリにとどまらずイタリア全土で、また世界中で親しまれているのでしょう。ただし、ピッツァが今日ような知名度を確立したのは、本場ナポリ以外では本国イタリアにおいても比較的最近で、1960年代のピッツァブームで脚光を浴びてからのことです
紛らわしい「ピッツァ マリアーナ」との違い
ピザ屋さんで「マリナーラ」ではなく「マリアーナ」と言う名のピザを見たことのある方も多いのではないでしょうか
マリアーナというピザは間違いではありません。実在するピザです。「マリアーナ」は国王ウンベルト1世の弟で後のスペイン国王となるアオスタ公アメデーオ妃マリーア・ヴィットーリアにちなんだ物として知られています。具材が異なり、スペインのトマトとオリーブ油とオリーブ果肉・アンチョビを使用していて、ナポリ風ではありませせん。日本では「マリアーヌ」と間違えてメニュー記載されているケースも実際にあるようなので、ご注文の際にはお気を付け下さい
まとめ
ナポリピザの元祖、ピッツァ マリナーラの歴史や由来をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか
素朴な味は飽きがくることなく、何世代にもわたって人々に愛され続けています。マリナーラとマルゲリータの関係は日本の「もりそば」に対する「ざるそば」、天ぷらを乗せた「天そば」に似たものなのかも知れません。こうして考えると、古今東西、人間の考えることって似ているんだなぁと、面白いですよね。 本場のナポリや本格ピザ屋さんでお食事するならば、マリナーラピザは外せません!ぜひお試しください。
発祥の国はどちらも南イタリアの都市ナポリで生まれました。ナポリは古くから小麦の産地であったため、パンやピッツァの生地を作りやすい土地柄だったからだといわれています。ナポリピッツァは「マリナーラ」と「マルゲリータ」だけである。マリナーラはトマトの酸味とニンニク、オリーブオイルが引き立ててくれてジューシーさがある。マルゲリータはマリナーラソースにモッツァレラチーズが主役で、緑・白・赤の3色の色合いがイタリア国旗を表している。どちらもシンプルな素材なので、上質なものを使えば使うほどそのまま美味しさにつながりますね
ピッツァとピザの違い…ピッツァとは本場イタリア流で作ったもので、「生地を楽しむ」ともいわれ、具材はシンプルです。ピザとはアメリカナイズされたもので、「トッピングを楽しむ」ともいわれ、具材はたっぷりです