濃厚な海老の旨味!アメリケーヌソースとは
パスタを食べに行くとたまに見かける「アメリケーヌソース」。なんとなくエビやカニのソースだということは分かるのですが、なぜアメリケーヌという名前なのだろう。同じエビの味でも「ビスク」とはどう違うのか
このソース…あまりメジャーなソースではありませんが、自宅でも挑戦できる奥深い味のソースなのです
アメリケーヌとは、フランス語で「アメリカ風」という意味です。まるでアメリカ発祥のソースのようですが、なんとこのソース、フランスのパリうまれなのです
1860年代のフランス。パリにある人気レストラン「ピーターズ」のオーナーシェフであるピエール・フレス氏は、アメリカのレストランで勤務経験がある人物でした。ある日アメリカの観光客が来店した際、店にあったオマールエビを使って即興で作った料理の名前をきかれたピエール氏は、とっさに「オマールエビのアメリカ風です」と答えて大いに喜ばれたのだといいます。アメリカはオマールエビの一大生産国なので、観光客も嬉しかったのでしょう好評だった料理はそのまま「アメリケーヌ」として定番化したのです
フランス生まれなことは確かですが、最有力であるピエール氏の説以外にも諸説あるようですフランスのブルターニュ地方がかつてアメリケヌと呼ばれていたのが由来だとかアメリカ人シェフがパリで発明したのだとかさまざまです。今ではカニや魚介も含まれますが、本来はオマールエビが基本になるソース料理のことなのです
本場フランス料理では超有名ソースだが、アメリカ風という名の割にアメリカではあまり食されず、もちろん日本でも一般的ではありません。一体どんなソースなのでしょうか
日本で味噌汁にエビを入れると濃厚な旨みが楽しめますが、アメリケーヌソースにも独特の潮の香りとコク、旨みが凝縮されています。トマトソースで生クリームも使われているため、酸味や香辛料、バターの香りもするクリームソースです。
エビ料理に直接かけたり、海鮮パスタとあえたり、海鮮サラダのドレッシングにしたりとオーソドックスな使われ方の他、卵料理や鶏肉の煮込みにも使われています。エビの風味は強いのだがいろいろな料理に使うことができる美味しいソースなのです
フランス料理には、甲殻類を使って作り方もほぼ同様の「ビスク」が存在します。つい混同しがちですが、簡単に説明すると「ビスクはスープ」「アメリケーヌはソース」なのです。ビスクの場合、煮込んだ殻ごと全てペースト状にして加えるのが特徴です。
もし殻付きのエビを調理することがあったら、むいた殻はとっておきましょう自分でアメリケーヌソースを作るチャンスですから
本当は2日がかり
フランス料理はソースが命です本来、アメリケーヌソースはエビの頭などをオーブンで焼き、ブランデーで香りをつけるところから始まります。香味野菜と炒めてバターやトマトペーストを足し、煮込んで一日おき、煮たり冷ましたりして味を凝縮します。最後に布で漉して完成、という2日がかりの高級ソースなのです
自宅で再現するには…とっておいたエビの殻をオリーブオイルとニンニクでしっかり炒めて香ばしさを出します。コクが欲しい時はバターで炒めます。人参や玉葱、白ワインを加えて炒め、トマトのホール缶を加えて煮込みます。塩・コショウで味を調え、ザルでエビの殻を漉したら出来上がりです生クリームや牛乳でクリームソース仕立てにしてもいいです
アメリケーヌソースを作ったら、やはりパスタがおすすめですね茹でたパスタをあえるだけで最高に美味い濃厚な魚介パスタに仕上がりますその他、小麦粉を足してグラタンソースにするのもおすすめですブロッコリーなどの茹で野菜につけたり、フランスパンにつけてもエビの殻だけで出来てしまうので、気軽に挑戦してみて下さい
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