春野菜が出始めました。
上から、うるい、行者にんにく、菜の花、蕗の薹、こごみ、たらの芽、筍、新じゃがです。
【うるい】
ギンボとも呼ばれ、昨今の自然食ブームで人気の上がっている山菜の代表格です。
本州北部・中部の山地や丘陵・草原などの湿りけのあるところに自生している多年生草本です。
もともと山菜として食べられてきたが、丈夫で株がふえやすく、葉や花も美しいので、
古くから日本でも栽培されていて、変わった型や種間雑種が栽培され、園芸用に取り扱われて
いることが多いようです。
育ち過ぎた葉は苦いですが、若葉は柔らかく、特有のヌメリも旨味のひとつです。
味や香りにクセがなく、独特の歯ごたえがあります。
若芽は塩を一つまみ入れ、サッと茹でてお浸しにしたり、味噌汁の具にします。
成長した「うるい」は茎だけを使い、お浸しや味噌汁にします。
また山かんぴょうの名もあり、乾燥させて保存食にも利用されています。
最上地方では促成栽培で光を遮断することで、白さと柔らかさを強調したうるいを生産して
「雪うるい」のブランド名で出荷しているようで、うるいの特徴であるぬめりも抑えられ
生でも食べられる新感覚野菜として注目を集めているのです。
葉柄の軟らかい部分を根もとから切り取り、茹でたものを適当な長さに切り、鰹節や胡桃
マヨネーズ、辛子などをのせたお浸し、あるいは胡麻和えは、適度のヌルメキもあり最高です。
その他、煮物、酢の物、天婦羅、油炒めと利用方法も多彩です。
【行者にんにく】
強烈なニンニク臭でカラッとした辛味があります。
昔、修験道の行者が滋養強壮に食べたという言い伝えからこの名前がつきました。
アイヌねぎとも言われネギの中では最も葉が広く、春になって出てくる若い葉と茎の部分を
食用とします。種からだと最初の1~2年は葉っぱだけで茎の部分(ネギのように)ができません。
食べ応えがあるように育つまでに5年かかるといわれ、乱獲されるとなかなか自然に回復しない
ので幻の山菜となりつつあります。このように天然物は非常に少なく、栽培物が普及してきました。
ただ出荷できるまで育てるのに何年もかかるので高価です。
主な産地は北海道で4月下旬~6月上旬が旬です。
生のまま味噌をつけてかじるのが最高です。
または軽く茹でてから水にさらして酢味噌で和えてヌタにしたりします。
天婦羅も美味で最近はオムレツに入れたり、乾燥させてラーメンに入れたりして色々な料理の
食材として利用されています。
【菜の花】
蕗の董 と並ぶ、春の一番早い使者です。
菜種油を取る重要な作物で、世界各地で栽培されています。
旬は1月~3月で他のアブラナ科の植物(ブロッコリ、 カリフラワー)と同様に
冬に成長して春一番に開花する野菜です。
調理法として、 まず塩(または重曹)を加えた湯で軽く茹で、氷水にさらします。
茹で過ぎ・さらし過ぎに注意してください。お浸し、辛子和えにします。
吸い物の具としては、"ハマグリと菜の花"、"鯛と菜の花"が早春の定番メニュー。
その他、天ぷら、野菜いためなど、意外に幅広く使えます。
またイタリア料理として菜の花の一種がパスタの具に使われています。
【蕗の薹】
雪解けを待たずに一番早くでてくる山菜です。
独特の香りとほろ苦さが春の息吹を感じさせてくれます。
「春の皿には苦味を盛れ」と言います。 冬の間にたまった脂肪を流し
味覚を刺激して気分を引き締めて一年の活動をスタートさせます。
冬眠から目覚めた熊は最初に蕗の薹を食べるとか…?
蕗の薹は蕗の花のつぼみで、まだ葉が出る前に蕗の薹だけが独立して地上に出てきます。
寒さに耐えるように、ツボミを何重にも苞が取り巻いています。
全国の山野に自生していて、場所によって違いますが、関東近辺の平地では2月から3月が
旬です。(山地では3月から4月です。)
食べ方として、天婦羅が最適ですが低めの温度で揚げるのがコツで、
揚げているうちにツボミが開くと苦味がとれます。
また、せん切りにして味噌汁の実にしたり、煮浸し、油いためなどにします。
蕗の薹味噌にしても美味しく上品な味です
苦さを楽しむ山菜ですが、採れたてで、暖かい産地の物、しかもあまり成長していない小さな
つぼみの物を選ぶと苦味が少ないようです。
どうしても苦味を抑えたい場合は茹でてから水にさらしてアク抜きをしますが
同時に香りも失われます。 また、油で炒めると苦味はかなり少なくなります。
【こごみ】
大きくてしっかりとした歯ごたえがあり、シダ類の野性味を感じさせる山菜です。
見かけに比べてクセが無いのでアク抜きせずに使えます。
草蘇鉄の若芽でシダ類の多年草です。
東北・北海道で多く採れ旬は4月中旬から5月上旬です。
食べ方としては 他の山菜に比べてアクが無いので、さっと茹でただけで使えます。
胡麻和え、胡桃和えが美味です。
【たらの芽】
たらの木の芽で「山菜の王者」とも「天婦羅の王様」とも言われています。
うどに似た香りとほのかな 苦さが春の到来を告げます。
たらの木はマッチの軸などに使われるやわらかい木で、 山野に自生し、4、5メートルの
高さになります。
地中を走る根から、どんどん繁殖し 春になると茎の先端にふっくらとした芽が出ますので
これを採って食べます。
野生のたらの芽は産地によっても違いますが、4月から6月の上旬が食べごろです。
芽が5cmぐらいの時が香りがあっておいしいです。
最近は栽培ものが多いのですが、こちらは 3月に最も多く出荷されます。
食べ方は天婦羅が最高です。ただあまり揚げすぎないように注意してください。
和紙やアルミホイルでの包み焼きもいいです。
芽の付け根にある茶色いハカマは取って調理します。その他ゴマ和えや田楽などもいいでしょう。