独特のコクと風味で人気のヒレ酒
ヒレ酒は、日本酒の美味しい飲み方のひとつです。
食用魚の鰭(ヒレ)をあぶり焼いて、燗酒にいれたものでフグのヒレ酒が代表的です。最初に切り落とした鰭を干し、強火で飴色にあぶり、コップなどにいれ、これに熱燗の酒を注ぐ。ふたなどをして鰭の香味が酒にうつるのを待って飲む。掻き混ぜても琥珀色に透き通るのが特徴であるとされる。酒に火を点じてから飲むむきもある。
かつて三増酒のような品質の悪い日本酒が幅を利かせていた時代、鰭は「二級酒を特級酒に変えてくれる」と評され、安い酒を美味しく飲む手段として定着した。日本酒の品質が向上した現在でも、ヒレ酒は独特のコクと風味で根強い人気を持つ
ヒレ酒というと、すぐに思い出すのがふぐヒレ酒。また釣り人の間で有名なのはオニカサゴのヒレ酒。いずれも風味がよく熱燗に花を添えた感じです
なお、フグのヒレ酒は有名だが、それは皮も食べられるトラフグを使ってのこと。皮に毒がある種類では止めておきましょう。またオニカサゴの背ビレ、アイゴなど毒のあるヒレも避けた方が無難です。
ふぐのヒレ酒ふぐ料理を出す店によって作り方は微妙に異なっていますので、「これが正しい方法」というようなものはありません。大きく違うところは、「火をつけてアルコールを飛ばす」か「火をつけない」かというところですが、飲む人の好みで選んでください。
アルコール度を低くして、飲みやすいスープのようなヒレ酒を好む方は火をつけた方が良いでしょう。しかし、しっかりしたお酒として飲みたい方は火をつけない方が良いでしょう。また蓋をして火を消すタイミングを計れば、味の調整もできます。
ヒレは厚みのあるもの、3cm角の大きさなら2枚ぐらいが1合の酒に適当な量です。少し焦げるくらいしっかり焼くと生臭くなりません。お酒の温度も60℃以下だと生臭さが出るかもしれません。
75~80℃くらいの超熱燗がお勧めです。
湯呑みに焼いたヒレを入れて超熱燗を注ぎ、すぐ蓋をして3~5分ほどでできます。最初は熱いですから、気をつけて飲んでください。ヒレは取り出しても良いし、浸したままでも飲めます。二杯目はもう少しぬるめの燗を注いでも大丈夫です。ただし、二杯目は一杯目ほどエキスは濃くありません。
ヒレ酒は、ヒレに含まれるアミノ酸などの旨味成分が酒に溶け出し、特有のおいしさを作ります。
フグ以外に白身魚のアマダイやタイのヒレが使われることもあります。
ふぐヒレ酒のレシピ…
まずヒレの準備から…魚のヒレを洗って干します。胸ビレ、腹ビレ、尻ビレ、尾ビレ、いろいろなヒレで試してみましょう。そのまま干して形が崩れるのを嫌うのであれば、ガラスやビンに貼り付けるとよいでしょう。
ヒレを切り取る際、付け根の身の部分を残したまま切ると、色、味とも強くなって美味しい場合が多いようです。また魚種によっては、火で炙るとすぐに燃えて無くなってしまうものもあるので要注意。この場合は付け根付近を中心に炙るなど工夫してみましょう。
1ヒレ酒にはフタ付きの専用酒器が用いられますが、なければ湯のみで充分です。フタは小皿やアルミホイルで代用できます。
2.ふぐのヒレをオーブントースター(アルミホイルを敷いておくと焦げにくい)やコンロなどで、弱火でじっくり焦がさないようにあぶります。
3.目安は、表面に気泡が出来てキツネ色になればOK。あぶることで香ばしくなり、生臭さもとびます。
4.器は熱湯を入れて温めておきましょう。お酒を注ぐ前に湯を捨て、余熱で乾かします。
5.日本酒は80度以上のアツアツの熱燗にします。おいしく飲むための重要なポイントです。
6.温めた器にヒレを1~2枚入れる。お酒を注いでからフタをし、1分ほど蒸らします。
7.あく汁抜きのため、お酒の表面をライターなどでサッとあぶります。一瞬火があがりますので充分注意して下さい。再度ふたをする。
8.ふぐの旨みが出るまで30秒待ち、小皿にふぐヒレを取り出す。
ワンポイント
ふぐの旨みや香りを感じることのできるお酒がいいです。そのためには、ヒレ用のお酒は、あまり癖のない端麗のものがおすすめです。
ふぐヒレ酒器には、蒸すためのフタや、直に持つと熱いので、専用の竹かごが付いています。家庭では湯のみで充分です。フタは小皿やアルミホイルで代用しましょう。細い形状の方が燗が冷めにくいでしょう。多人数で飲む場合は、急須でもいいと思います。
ひれは入れっぱなしにすると、えぐみが出るので取り出しましょう。2杯目もおいしく飲めます。
ふぐは触れ合うと頑丈な歯で噛みあう習性があります。狭いいけすの中で育てられた養殖のふぐは、噛みあって傷がついていることが多いそうです。天然ものの方がきれいだそうです。
アルコールがとんでいて、炎が上がらないこともあります。
それはお酒の温度が低すぎませんか。アルコールを蒸発させる必要があるので、80℃以上のお燗にしましょう。
ライターかマッチの火を先につけておきましょう。ふたをずらした直後に火を近づけてみて下さい。瞬間にパッと青白くなります。メラメラと燃え続けるわけではありません。火を付けると大変良い香りが漂います
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