知られざる御殿場の銘酒

きくいち

2013年02月02日 14:02

静岡県のお酒で全国的に有名な銘柄は中西部に多く存在しています。そうした中、今、酒マニアにひそかに注目をされているのが「金明」です。酒屋さんに紹介されるまで私も知りませんでしたが、蔵元の根上酒造は静岡県でも最東部にあたる御殿場市にあり、最近全量特定名称酒になったようで、地元で栽培された酒造好適米・若水を使用したお酒を積極的に出しているのだそうです。濾過する際に活性炭の使用を最小限にとどめているようで、酒にはしっかり色がありました。

根上酒造店(御殿場市)…金明の新ブランド叶金明(かのうきんめい)です。純米で落ち着いた味わいの食中酒



日本酒度:±0、酸度:1.5、アルコール度:15~16%、使用酵母:協会901号、原料米:八反錦 50%精米、若水55%精米
 
最初にグッと甘みがきます。そのあとスッと消えていくとても素晴らしい仕上がりの純米酒。燗をすることでその甘さがグッとさらに前に出てきます。飲み応えのある酒でした。
  
香りは控え目で、炭素濾過をほとんどかけないので、お酒はほんのりと黄色がかっています。
口に含むと最初だけ少し甘く感じ、マイルドな口当たりがとても親しみやすく、決してベトついた甘さではなくて、穏やかな味わいが印象的です。杯を重ねるごとに、まろやかなコクが口の中に広がりますがこれもガツンとくるような濃くて重い感じではなくてむしろ軽やかささえ感じます。

料理の引き立て役…とでも言いましょうか?濃すぎず薄すぎず、どんな料理にも合わせやすいタイプで、冷やでもお燗でも美味しくいただけると思います。食事しながら同じように非常に楽しめる地酒で、食事と一緒に飲むとより辛口に感じます。冷やしてと常温でも飲んでみました。冷やしたら美味しい食前酒になりますし、常温で飲むと味の薄い前菜に良く合いそうな隠れた顔が現れてきました。

静岡の銘酒を総括する際にこの「金明」はこぼれてしまうことが多く、実際中西部の酒屋さんでもこの酒を見かけるチャンスは非常に少いのですが、「金明」の蔵元はそれら中西部の銘酒に引けをとらない企業努力をしていると聞きましたし、その努力に見合った実力は充分あると思います。ただ現状は、地元以外での知名度が低いのは本当に残念です。
 
御殿場市唯一の酒蔵、地元産の酒米にこだわりながら、根上社長さん自らが醸す純米酒…一生懸命に御殿場市と東部静岡県の地元の文化の発展と、生産努力をしている根上酒造さんをこれからも応援していきたいと思っています
 

関連記事