カブス108年ぶり優勝。呪いは一転して幸運の象徴に…。

きくいち

2016年11月04日 15:06

大リーグの第112回ワールドシリーズ(WS)で、シカゴ・カブスが1908年以来108年ぶりに優勝を果たしました。そのWSに1945年以来71年ぶりに進出したカブスを長年悩ませて、この日解放されたのが「ヤギの呪い」です。呪いをかけた一族もヤギを連れてテレビで観戦したようで、ファンと一緒に祝ったそうです。.



ヤギの呪いとは…事件は1945年に起きました。カブスの本拠で行われたWS第4戦で、カブスの熱心なファンだったビリー・シアニスさんが、ペットのヤギ「マーフィー」と一緒に観戦しようとすると…「臭い」という理由で入場を拒まれたのです。怒り心頭のビリーさんは当時のカブスのリグレー・オーナーにこう吐き捨て、球場を後にしたのです。「them Cubs will win no more(カブスは二度と勝てない)」

ビリーさんの言葉は、現実になります。この年、カブスは第7戦でタイガースに敗退。以降、今シーズンまで70年もの間、WSに出場することすらできなかったのです。この間、WS進出をかけたプレーオフに進んだ年は7回ありましたが、すべて負けています。最後にワールドシリーズを制覇したのは1908年。なんと108年も前のことになります。



ビリーさんの一族は今もシカゴ市内にいるそうです。甥の息子であるトム・シアニスさん(40)は現在、シカゴ市内にある居酒屋「ビリー・ゴート・タバーン」のオーナーの一人…ビリーさんが作った店を、兄弟5人と一緒に運営しています。商売は繁盛していて、シカゴのあるイリノイ州に8店舗、ワシントンDCに1店舗あるそうです。

ヤギの「マーフィー」の一族も健在で、今もイリノイ州の隣にあるインディアナ州で飼っていて、現在は「マーフィー7世」がいるそうです。ヤギはシアニス家にはとても大切な存在で、トムさんも「幼少のころから触れ合って育った」と話していたとか…



カブスは、第7戦を延長10回、8―7で勝利し、歴史的な瞬間を迎えました。108年ぶりに優勝し、ついに呪いを解いたのです。  トムさんはこの日、シカゴ市内の店舗で、約200人の客とともにカブスの勝利を見届けたそうです。観戦中のお供にと、ヤギを店内に入れて記念撮影したりして、盛り上がったそうです。そして感慨深げに「これで呪いは解かれた。これからヤギはカブスにとって幸運な存在になるだろう」と言ったそうです。



カブスWS制覇はシカゴ市民の7割以上が観戦 米全国視聴率も01年以降最高に…歓喜から一夜明けた現地時間3日、米メディアは深夜まで及んだ激闘を大きく報じた。

全国紙のUSAトゥデーは一面に写真つきでカブスの勝利を伝えるとともに、スポーツ面で「呪いは解けた」の見出しで大きく報じた。記事では、カブスが長年の低迷期を抜け出した経緯を説明。1945年のワールドシリーズ第4戦で、ヤギを連れての入場を拒否されたことから生まれたヤギの呪いや、黒猫の呪い、そしてファウルフライの捕球妨害で有名になったバートマン事件に至るまで、これまで優勝できない理由として伝説化されてきた「呪い」の数々を列挙。「108年にわたる干ばつが終わりを迎えた」と伝えた。

シカゴ近郊の地元各紙もそろって、一面で大きく写真付きで取り上げた。シカゴ・トリビューン紙はワールドシリーズ・チャンピオンの特別版を出し、「At Last! 遂に!」との見出しと勝利の瞬間にナインが抱き合う写真を一面に使った。

USAトゥデー紙の調査によると、シカゴでは70%以上の市民が観戦したそうで、全国視聴率も2001年以降のワールドシリーズで最高となる平均25.2%を記録。カブスのワールドチャンピオンへの挑戦が改めて国民的関心事であったことを示した。

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