赤シャリと白シャリの違いは?

きくいち

2021年07月06日 09:09

たまにはお寿司の話もしないと…
「この寿司ネタが好き」という方は多いと思いますが、ネタだけではなくシャリにも種類があるのをご存知ですか今日は、赤シャリと白シャリの違い、そして赤シャリのルーツとなった江戸前寿司について紹介したいと思います



シャリとは、寿司ネタの土台となる酢飯のことです。シャリにはネタの味を引き立てる役割があり、寿司店ごとにこだわりを持ってつくられています。シャリに使われる酢は1種類のものや、2種類以上を合わせたものなど様々です。どの割合でどの酢を使うかは寿司店ごとに異なり、シャリだけでも甘みや酸味の調整が必要なのです。

一般的な寿司店では、シャリに米を醸造してつくる白酢を使っています。白酢と米を混ぜ合わせてつくったシャリを白シャリと呼びます。最近では白酢を混ぜ合わせるだけではなく、米を炊く際に昆布などで出汁の風味をくわえる職人もおり、シャリだけとっても寿司店ごとの味の違いを楽しめます



一方、江戸前寿司の伝統的なシャリの形式として、赤シャリにこだわる寿司店もあります。赤シャリは白酢ではなく、赤酢と米を混ぜ合わせてつくったシャリのことです。赤酢は酒粕を醸造させたもので、米を醸造させた白酢よりも香りが強く、まろやかな味わいがあります。酒粕にふくまれる栄養素によって酢が褐色に変化しており、赤酢をもちいた赤シャリは名前の通り、シャリに薄く赤い色がつくのが特徴です



いまでは取り扱っている寿司店が少なくなった赤シャリですが、江戸時代に江戸前寿司が流行り始めた頃にはとても一般的なものでした。江戸前寿司の意味は様々な定義がありますが、もともとは東京湾で取れた魚(江戸前)をつかった寿司のことです。江戸前寿司を完成されたとされる江戸時代の寿司職人・華屋与兵衛も、シャリに赤酢をつかっていました

江戸時代、多くの寿司店は今でいう屋台のような形式で営業されていました。提供方法も現在のように目の前で寿司を握るのではなく、木箱に並べられた作り置きの中から好きなものを選ぶ形式でした。魚を酢飯の上に乗せる「握りずし」の形式は変わりませんが、大きさは今の2倍~3倍のサイズだったそうです。現代だと、立ち食いそば屋をイメージすると分かりやすいかもしれません



江戸時代は今のように魚の冷蔵技術がないため、野外で生魚を提供するのは大変です。そこで、魚を火で焼いたり、酢や塩で締めたり、煮たりと様々な技法が発展していきました。寿司ネタと同様にシャリに関しても、乾燥や傷みを防ぐための方法として、酢を混ぜるようになりました。酢には寿司ネタの劣化を防ぎつつ、ネタや米の味を高める意味があります

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