将棋の藤井聡太六冠・名人戦制し史上最年少名人獲得・七冠達成

きくいち

2023年06月02日 14:21

将棋の八大タイトルで最も歴史の古い「名人戦」の第5局で挑戦者の藤井聡太六冠が渡辺明名人に勝って4勝1敗とし、史上最年少で「名人」を獲得しました
さらに羽生善治九段以来史上2人目の「七冠」達成となり、その最年少記録も更新しました一方、渡辺名人は、「名人戦」4連覇はならず、19年前に「竜王」を獲得して以降、タイトルを保持し続けていましたが、これで無冠となりました。藤井七冠は、6月5日にベトナムで開幕する「棋聖戦」五番勝負で、今年度2つ目のタイトル防衛に臨みます



藤井聡太さんは、2016年、中学2年のときに史上最年少となる14歳2か月でプロ入りしました。デビュー後から前人未到の29連勝を達成するなど快進撃を続け、2020年7月には「棋聖戦」を制し、17歳11か月で初めてタイトルを獲得しました。
このときの相手は、今回の「名人戦」で対局した渡辺明さんで、タイトル獲得の最年少記録を30年ぶりに更新しました
その後も、
▽2020年8月には18歳1か月で「王位」を獲得し「二冠」
▽2021年9月には19歳1か月で「叡王」を獲得し「三冠」
▽2021年11月には19歳3か月で「竜王」を獲得し「四冠」
▽去年2月には19歳6か月で「王将」を獲得して「五冠」
▽ことし3月には20歳8か月で「棋王」を獲得して「六冠」となり
▽今回、20歳10か月で「名人」を獲得して「七冠」となりました。

いずれも最年少記録を更新し、「七冠」を獲得したのは羽生善治九段以来、2人目の快挙となりました。羽生九段は1996年、25歳4か月のときに「七冠」を達成し、当時の七大タイトルすべてを独占しました。現在、タイトルは8つに増え、八大タイトルすべてを独占する「八冠」の達成は誰も成し遂げていません



藤井さんは▽竜王▽名人▽王位▽叡王▽棋王▽王将▽棋聖の7つを保持しこのほか▽王座については、永瀬拓矢さんが保持しています。
「王座戦」五番勝負は、例年9月から10月にかけて行われ、永瀬王座への挑戦者を決めるための棋士16人によるトーナメントが先月から始まっています。藤井さんは初戦を勝利してベスト8に進出していますが、挑戦者となるには残り3回の対戦で一度も負けは許されません

「名人」の歴史と意義
「名人」の歴史は将棋の八大タイトルで最も古く江戸時代にさかのぼり、400年余り前の1612年、幕府が大橋宗桂に将棋の「名人」の称号を与えて「一世名人」が誕生しました。当時の「名人」は基本的に世襲制で、一度「名人」となったら亡くなるまで名乗る「終生名人制」が、明治・大正にかけて続きました。その後、昭和10年に当時の関根金次郎十三世名人が、将棋界の発展のために今の「名人戦」と同様の「実力制」への移行を打ち出しました。「実力制」の「名人」を獲得したのはこれまでに15人で、藤井聡太さんは16人目となります。

さらにこの中で「名人」を通算5期獲得した棋士に与えられる称号の「永世名人」となった棋士やその資格を持つのは、木村義雄十四世名人や、大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人といった一時代を築いた棋士のほか、今も活躍を続ける羽生善治九段など合わせて6人です。
これまでの「名人」獲得の最年少記録は、谷川浩司十七世名人が40年前に達成した「21歳2か月」で、現在「20歳10か月」の藤井さんはこの記録を4か月更新し、史上最年少での「名人」となりました

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