絶品はぜの握り

きくいち

2010年12月01日 11:02

江戸前の天婦羅でなくてはならない物が「はぜ」です。
活きのはぜを開いて揚げた、天婦羅を食べるのがたまりませんが
刺身で食べても身に透明感があり、旨味が強くお勧めなのです。

 

勿論、活き「はぜ」に限るのですが、
鮨で握ってもその味はクセのない爽やかな食感で
すし飯に負けない舌触りと、微かな苦みと旨味があり
初夏のスズキに似た、「はぜ」そのものの味わいがあります。



秋から初冬までが「はぜ」の旬であり
夏には浅場にいる「はぜ」が水温が下がるにつれて深場に落ちていきます。
その時期が漁期であるし、また旬なのです。

この時期の「はぜ」は身がぱんぱんに張っていてとても美味しいのです。
これが江戸川をはじめ東京湾から、また宮城県などから活けで入荷してきます。
勿論、浜名湖でも形のいいものが獲れます。
当店では肝と一緒に握ります。(中骨と頭は唐揚に…)

 

夏などに獲れる「できはぜ」という小降りのものは唐揚げにしてもいいですし
佃煮や甘露煮などに煮付けても美味しいです。
島根県宍道湖近辺ではこれを焼いて干し、枯らしてお雑煮などのだしに使うようで
この出汁は、上品な中に甘味があり、吸い物として最上とされています。 
珍しいものとしては真子の煮付けは非常に美味で、東京近辺では真子だけを集めて売っています。
  
また市場での評価や取り扱われ方は秋から冬にかけて活かしものが入荷しますが
これらは最近とても高価になり、1キロ3000円を越すことも多くなりました。

東京の深川、佃島などから遊魚船が出ている「江戸前はぜの天婦羅船」は
夏から秋にかけての風物詩として有名ですが現在は少なくなってしまったようです。
  
最後にはぜの由来を調べてみたら
「すばやく水中を駆ける魚であるから『馳せ(はせ)』が「はぜ」になったと、ありました。
このことでもお分かりでしょうが、料理人泣かせの魚です…。
そのかわり味は絶品ですよ…。


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