春の夜、海上に青白い光を放つ光景「富山湾の神秘」

きくいち

2013年03月16日 15:53

桜の咲く時期からゴールデンウィークまでの間に出回る小さなイカと言ったら皆さんも良くご存知なホタルイカ(蛍烏賊) ですね。食通の中では一年に一回、これを食べないと本当の春は来ないとも言われているくらいですから…。

ホタルイカは日本海全域と太平洋の一部に生息しています。(駿河湾、相模湾の太平洋側でも獲れますが、なんといっても富山湾の特産であるという印象が強いですね…海岸の近くまで大群が群遊して現れるのは富山湾だけです)
普段は深さ200~600mの深海にいますが、産卵のため、4~6月頃、海面近くに現れます。

長さ10cm、重さは10gほどで、体に発光器を持ち、刺激を受けると青白い光を放ち、夜の富山湾で行われる幻想的な網揚げの光景が観光名物にもなっていますが乱獲を防ぐため、天然記念物に指定されています。
また、時として産卵したホタルイカが海岸に打ち寄せられることがあって、「ホタルイカの身投げ」といい、夜間にそれを網ですくう人も多く、地元では春の風物詩としてニュースになります。

  

入荷は新年には始まり、富山湾のものが盛期を迎えても続きます。3月になると富山から、ぷっくりとふくらんだホタルイカが並び、やがて生のものもそこそこで見られるようになります。富山湾での漁は3月1日に解禁され、例年4月から5月上旬にかけて最盛期を迎え、6月まで続きます。(ホタルイカの旬は、産卵期の身の張っている4月前後がから6月下旬になります)

柔らかく、モチモチした食感と独特の甘みが美味で、鮮度の良い獲れたてのホタルイカを塩茹でした「桜煮」にアサツキなどを添えて酢味噌で食べるのが一番ポピュラーな食べ方です。ほかにもフライ、炊き込みご飯、甘露煮、黒作り、塩辛、串焼きなど、さまざまな食べ方があり、なかでも足だけを使ったお刺身「竜宮そうめん」は贅沢な珍味といえます。(内臓には寄生虫がいることがあるので、まるごとお刺身で食べる場合は内臓を取り出すか一度、冷凍をしてからがいいと思います) 

【調理法】 
ホタルイカはそのまま内蔵も食べることが多いのですが、この内臓にはビタミンAが驚くほど含まれていますが、寄生虫の問題があり、生食の場合は内臓を取り除いたほうが無難です。さっと茹でて、酢味噌で食べたり、沖漬けなどがポピュラーです。

ホタルイカの刺身
3月に入りいよいよ解禁となったホタルイカ。刺身で食べるホタルイカならではのほのかな甘みは日本酒との相性バツグンです。旬の蛍烏賊、まずはお刺身で是非ご賞味下さい。ホタルイカの足だけを使った刺身「竜宮そうめん」も贅沢な逸品で、コリコリとした食感がたまりません!

ホタルイカの沖漬け
沖の船上で、漁師がとったホタルイカを生きたまま醤油漬けにして作ったものが、郷土料理として浸透。ホタルイカが醤油を飲んでピュッと吐き出すことで、内側からよく味がついておいしくなります。噛めばかむほど旨味と甘味が染みだし、ご飯のおともに、お酒の肴に最高の逸品です。

ホタルイカの酢味噌和え
さっと湯通したホタルイカはその茹で上がりの色から「桜煮」と呼ばれていてホタルイカのプリプリの身を噛みしめた時の口に広がるやわらかい甘みは絶品で、酢味噌との相性抜群。やわらかい身の独特の甘みが楽しめるホタルイカの最もポピュラーな食べ方でまさに春を告げる味わいです。  

ホタルイカの天婦羅
ホタルイカ本来の甘みを天ぷらでぎゅっと凝縮されています。頬張るとじゅわっと口いっぱいにホタルイカの旨みが広がります。揚げたてのあつあつをどうぞ…!  

ホタルイカのしゃぶしゃぶ
ホタルイカの贅沢な食べかたで朝採れの新鮮なホタルイカを、昆布のダシ汁でしゃぶしゃぶに…プクっと赤く膨らんだら食べ頃です。プリプリの食感で、濃厚な味わいが、春を感じさせてくれ酢味噌和えとはまた違ったホタルイカが味わえます
 
ホタルイカのパスタ
産卵期のふくよかな富山湾産ホタルイカを、ホタルイカそのものの旨味たっぷりのソースで食べるパスタは絶品!深海からやってきて、いくつもの神秘で魅了するホタルイカの魅力を、イタリア料理でご堪能いただけます。


当店のお勧めは「蛍烏賊と蕨の陶板焼き」です。
(さわやかな早春の美味に舌鼓…是非召し上がってみて下さい)

世界でも珍しいホタルイカ群遊海面…富山湾のホタルイカは普段、水深約200〜600mの深海に生息し、毎年3月から6月上旬にかけて、夜になると産卵のため海岸近くまで大群となって押し寄せてきます。日本近海で海岸近くまで大群をなして集まるのは富山湾だけであり、富山市常願寺川河口から魚津港までの沖合1.3kmまでの海面は、「ホタルイカ群遊海面」として国の特別天然記念物に指定されています。1996(平成8)年、ホタルイカは「富山県のさかな」に指定されました。

ミステリアスな発光のひみつ…体に大小数多くの発光器を持つホタルイカ。4番目の腕の先にある大きな発光器は、敵に襲われたり、網にかかったりすると強く光ります。また、胴体の表面には小さな発光器が約1000個もあり、それらは自分の影を消して、外敵から身を守る目的で発光すると考えられています。定置網で引き揚げる際にホタルイカが青白く発光する光景は、まるで蛍が乱舞しているかのようであり、実に幻想的で、富山湾の春の風物詩となっています。

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