車海老(クルマエビ)の旬

きくいち

2017年06月23日 09:51

車海老(クルマエビ)の旬をご存知ですか
天然物のクルマエビの旬は6月~8月で、養殖物の旬は12~2月にかけてです。



なぜ「クルマエビ」
体色は住む環境によって、茶系、青系、黒系と異なりますが、多くは淡い褐色の地色に、鮮明な茶褐色の太いしま模様があります。尾には鮮やかな青と黄色のしまが1本ずつ配されています。お腹を丸めたときに、しま模様がちょうど車輪のように見えることからクルマエビという名がつきました。成長したクルマエビの体長は15~20cmほどですが、メスの中には30cmに達するものもいます。

日本人はエビが大好物 中でも、最高の味を誇るのがクルマエビ。そのおいしさは「姿 イセエビ、味クルマエビ」と称されるほど。
町人文化が花開く江戸時代、江戸では天ぷら、寿司が登場し、江戸前のクルマエビは海老天、握りに大活躍だったようです。
クルマエビのおいしさ、特にその甘味は、遊離アミノ酸であるグリシンに由来します。このほかの旨味成分も含めて、クルマエビはエビ類の中でもっとも高い含有量を誇っているのです。



クルマエビには生長とともに違う呼び名があり出世エビともいえます。魚河岸では、重さが30g以下のものを「巻」、それ以上のものを「車」と呼びます。「巻」は小さいものから順に、「小巻」「才巻(サイマキ)」と分けられ、「車」は同様に「車」「大車」となります。大きさによって用途も分かれ、一般的に、大きいものは塩焼きや海老フライ、小さめのものは天麩羅によいといわれています。



くるまえび養殖事業発祥の地…明治38年、熊本県天草諸島の上天草市維和島で、海水池を利用した天然稚エビの蓄養が開始されました。
その後、東大農学部の学生時代からクルマエビに着目し、卒業後も水産会社に就職して研究を続け、クルマエビの人工産卵・孵化に成功した「クルマエビ博士」、藤永元作氏らによって、昭和38年に、山口市秋穂東の塩田跡に養殖会社が設立され、世界で初めてクルマエビの養殖が事業化されました。ここには今も、「くるまえび養殖事業発祥の地と書かれた大きな自然石の石碑が建っています。



【クルマエビの主な栄養成分】
アミノ酸たっぷり…豊富に含まれるアミノ酸のうち、3割を占めるグリシン、アルギニン、プロリン、リジンの4つのアミノ酸は、お肌の水分や油分、弾力を保つために必要なコラーゲンの主原料です。
殻にはキチンという不溶性食物繊維が含まれていて、便秘の予防や改善に役立つだけでなく、大腸ガンの予防やコレステロールを体外に排出する働きもあります。
ビタミンEが豊富…強い抗酸化作用があり、活性酸素を抑え、体内の不飽和脂肪酸の酸化を防ぐ働きがあるので、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防に役立ちます。
タウリンは脳卒中、高血圧、心臓病の予防や、疲労回復、視力回復に有効とされています。

【おいしいクルマエビの選び方】
体に透明感があって、しま模様が鮮明なものを選びましょう。
内臓が詰まっている頭部が黒くなっているもの、背わたが溶けたように滲んでいるものは避けてください。

【クルマエビの下ごしらえ&保存のポイント】
活きたクルマエビは、仮眠状態なので早目に食べましょう。オガクズの中に入っている場合は、そのまま冷蔵庫に入れます。長く保存する場合は、オガクズを洗い落としてラップで包み、冷凍保存します。

【クルマエビの調理のポイント】
まず、背わたを取り、きれいに洗います。
冷凍のものは、殻をむいたあと片栗粉を振りかけ、静かに揉んでもう一度水洗いをします。こうすると臭みが取れ、色がきれいになります。
天麩羅屋でみかけるエビの卵巣から作られる塩辛は絶品です。殻付きのまま乾物にしたクルマエビの出し汁は、甘くて美味です。

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