「充填豆腐」って何?

きくいち

2021年06月25日 08:14

ヘルシーで値段もお手頃、和・洋・中さまざまな料理に使える豆腐。日々の食卓に欠かせない食材ですよねそのなかでも、最近よく耳にするようになったのが「充填豆腐」
スーパーや量販店などで安価で売られているので、知らずに食べているかたも多いかもしれません今日は「そもそもどう読むの」「普通の豆腐と何が違うの」「おいしく食べるには」といった疑問をまるごと解決します



「充填」は「じゅうてん」と読みます。精選版日本国語大辞典によると、意味は「すきま、穴、欠員などを満たしうめること。詰めること」とあります。
つまり充填豆腐とは「すき間なく詰められた豆腐」ということその名の通り、充填豆腐のパックには水が張られておらず、容器にすき間なくぴったりと豆腐が詰まっています



ただ、スーパーなどでは「充填豆腐」という名前で売られていることはほとんどありません。そのため、聞きなじみがないかもしれませんが、3個パックなどで売られているミニサイズの豆腐などが充填豆腐になります。以前はソーセージ状の容器が使われていたこともありますが、現在では一般的な豆腐と同じような角型パックが主流。丸い形や舟型をした商品もあります。



充填豆腐の起源は
充填豆腐は、豆乳を冷やし、凝固剤と一緒に1丁ずつ容器に注入(充填)・密閉し、加熱して凝固させます。この製法は機械化による流れ作業の大量生産に適しています。つまり、充填豆腐は戦後の機械化の進展にともなって生まれた食品といえるでしょう。

また、昭和40年ごろから、食品を大量に仕入れて安く販売するディスカウントスーパーなどが増え、消費期限の長い充填豆腐が流通するようになったという背景もあります



充填豆腐の栄養は
一般的な充填豆腐の100gあたりのおもな栄養素を調べてみました
・エネルギー…59kcal・たんぱく質…5g・炭水化物…2.5g・カリウム…200mg・ナトリウム…5mg・カルシウム…28mg

比較のために、充填豆腐ともっともよく似ている絹ごし豆腐の栄養素も見てみましょう
・エネルギー…56kcal・たんぱく質…4.9g・炭水化物…2g・カリウム…150mg・ナトリウム…7mg・カルシウム…43mg



充填豆腐のほうがカリウムがやや多め、カルシウムがやや少なめという違いはありますが、それほど大きな差はありません。充填豆腐もほかの豆腐と同様の栄養がとれると考えていいでしょう。

充填豆腐の味は



充填豆腐には絹ごし豆腐と同様のやわらかさとなめらかさがあり、「充填絹ごし豆腐」と言われることもあります。
ただ、製造途中で水にさらすという工程がないため、苦みやアクが気になる人もいるようです。その一方で、水にさらさないことで大豆本来の風味が残っているという声も聞かれます。実際に食べてみて、好みで使い分けるといいですね。

充填豆腐の作り方は



豆乳を冷やし、凝固剤と一緒に1丁ずつ容器に注入(充填)・密閉し、加熱して凝固させて作ります。豆乳を一度冷やすのは、熱いとすぐ凝固してしまい、容器への充填がしにくくなるためです

充填豆腐が作られる上での大きなポイントは、型箱に入れないこと、水にさらさないことのほかに、1丁ずつカット(切断)しないことにあります。そのため、充填豆腐に対してほかの豆腐を「カット豆腐」と呼ぶこともあります

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