新鮮なカツオも、処理が悪いと、味を半減させてしまっている事が多く、これではもったいないので「モチガツオ状態」に、させるための方法を今日は紹介します(モチガツオにこだわらない人でも、味は格段に良くなるので、覚えておくとお得です)
モチガツオ(もっちぃ)とはそういった種類のカツオではなく、その要因を持った個体を適性処理した時に初めて、もちもちとした食感になるのです
脂のない、痩せたカツオは処理が良くても「モチ」になりにくく、大根のような食感で、通称「ゴジガツオ(ゴンジー)」と呼ばれていますモチガツオは特に遠州では珍重されていますが、「マズイ」「こんなん食えたもんじゃねえ」とされる地域もあるのです。
カツオをシメるときは、釣りあげたものを、すぐ後頭部を硬いところで叩いて即死させます。そしてすぐさまエラを抜いて血抜き(エラの付け根を切断してもよい)…2キロ以下ならサバ折りのほうが簡単、確実
ワタやエラを全部取れば、さらにおいしくなる(ワタを抜くのは後からでも問題ない)またフックを外すのに手間取って、船ベリでバタバタさせると味が落ち、その上魚体にキズまで付くので、皮付きで食べたい人は要注意できる限り、下には落とさないこと釣り上げてからの手順は短時間ほどよい(5秒以内でできれば理想的)
よく後頭部を叩くだけの人がいますが、それだけでは血は抜けません
ただし職漁では、首を折ると商品価値が低くなるため、叩くだけですが…(また死んでから血抜きをする人、急所でもない頭の後ろにナイフを入れる人がいますが、これは全くの無意味です)ポイントは即死、血抜き、短時間、落下厳禁、水に漬けるです
保存方法
クーラーまたは保冷庫は必ず氷水とし、魚体全部が浸るように…氷は破片が少量浮いている程度で、氷が多すぎると温度が下がり過ぎ、鮮度は保てるが「モチ」状態にはなりませんさらに氷で魚が擦れて、かなり傷が付き、味も落ちます(翌日も刺身で食べたい場合は、氷は多くてもです)
「御前崎の近海かつお」
年が明け冬の終わりが近づくと、遠洋ものかつおが入荷し始めます。春には近海もの、そして12月まであるので年間を通してあるといっても間違いではありません。
かつおの水揚げは、ほとんど太平洋岸の漁港で行われます。数ある漁港の中でも、御前崎は好漁場に近いこともあり、旬の時期には近海ものの新鮮なかつおがほぼ毎日市場に水揚げされています。近海かつおは当日に水揚げされ鮮度が良い為、高い評価を受けています。
かつおの味覚は鮮度に左右されますので、近海ものの品質・鮮度のよいかつおをお勧めします。水揚げ後何日たっているかで大きな違いがでてきますので、ご注意を
「旬の時期」
かつおの旬は、春から初夏と初秋の2回あります。春のかつおは「初がつお」と呼ばれ、秋のかつおは「戻りがつお」と呼ばれます。
初がつおは戻りがつおに比べ小さく、味覚はさっぱりとしていて爽やかな春風を感じさせる味わいがあります。戻りかつおは、初がつおに比べ一回り大きく、脂がのった濃厚な味覚を楽しめます。
初がつおの特徴としては、言い方として不適当かもしれませんが当たりとハズレの個体差があります。一本一本の違いが他の魚と比較して大きいです。当日水揚げされ、当日夜くらいまでのまだ身がぷりぷりした状態のかつおは貴重な素材となっています。御前崎では「もちがつお」と言っています。もちがつおは、水揚げ後、数時間から半日くらいの新鮮なかつおという事もあり、食する地域はほぼ限られています。食感は、お餅のようにもちもちしています
「舞阪もちかつお」
舞阪・新居漁港を賑わすもちかつを漁は例年4月頃の初がつをに始まり6月頃まで、以後も出漁船は減りますが夏から秋まで続きます。
舞阪・新居から出漁し、遠く数十マイルも先の黒潮や枝潮の海域まで遠征して釣り揚げるかつおはそのままではもちかつおにはなりません。船から両手を広げるように張り出す曳き縄竿からバケと呼ぶ疑似餌をつけた曳き縄を幾本も流してかつをを一本づつ釣りあげます。釣りあげたかつおの尾を持ち、船縁に頭を打ち付けて即締めし、地抜きをしてから船のカンコウ(保冷庫)に敷いたぶ厚いスポンジの上に丁寧に並べ、凍らせず冷やして運ぶことで硬直前のモチモチした身のまま水揚げすることでもちかつおが出来上がります
舞阪・新居漁港に揚がるもちかつをは午後1時半頃以降に競りが行われます。もちかつをのモチモチ食感を楽しめるのは硬直するまでの時間です。舞阪もちかつおを水揚げする漁師さんは春からのもちかつを、夏のアマダイ、秋からのトラフグ漁を兼業していますが、誰もがもちかつお漁が一番好きだと話します。黒潮へ遠征し一本一本のかつおを引き縄で引っこ抜くだけのシンプルな漁が漁師さんの心を奮わせます往路は燃費を考えてゆっくりでも、かつをを積んでの復路は海をぶっ飛ばして戻る漁師さんが舞阪漁港の床を丸々と太ったもちかつおで埋めていくのです