懐石/会席料理を知る(水菓子)

きくいち

2022年02月10日 08:21

今日は一息入れて、和食の話題に
和食のコース料理、最後の締めは水菓子です
水菓子は「会席料理」にて、食事の最後に、デザートして用意されるフルーツです。水菓子と共に、食事の締めくくりとして、緑茶や番茶が出されます。




「くだもの」は、甘いもの全般を指す言葉だった
漢字が日本に伝わる以前、縄文文化の時代では、果実や木の実など、間食・軽食にあたる食べ物を「くだもの」と呼んでいました。日本に漢字が伝わってからは、「くだもの」の呼び方はそのままに、「果子」「菓子」の字が当てられました。その後、遣唐使などの活躍により、中国から現在の「お菓子」にあたる食べ物が伝わり、「唐から伝わってきた菓子」から、こうした食べ物のことを「唐菓子(からくだもの)」と呼ぶようになりました。江戸時代に入ると、日本に製糖技術が持ち込まれ、甘い食べ物があちこちで作られるようになりました。そこで人々は、原材料を加工することで作られる甘い食べ物を「菓子(かし)」、と呼び、それと区別するかたちで、フルーツのことを「水菓子(みずがし)」と呼ぶようになったと言われています。






時代と共に、「水菓子」のイメージは変化
時代と共に言葉は移り変わるものですが、最近では、水ようかん、くず餅、ゼリーなどの涼菓を指して「水菓子」と表記されることが多くなっています。かろうじて、日本の伝統料理である会席料理に、その面影を残しています。



懐石料理では、食事が終わってから茶が始まる
懐石料理では、食事が終わるといよいよ茶の時間となります。茶の作法は流派により異なりますが、基本的な流れは以下のようになります。

濃茶の作法
「濃茶」とは、厳選された茶葉を原料にしたもので、苦味や渋味がなく、濃厚な味わいが特徴です。濃茶の場合、「点てる(たてる)」と言わず「練る」と言います。



亭主によって練られた濃茶の茶碗は、まず正客が受け取ります。受け取る際は、ひと膝分だけ前に出て、茶碗を手に取ったらもとの場所へ戻ります。受け取った茶碗を、次客との間の位置である左ヒザの前あたりに置き、両手の指をヒザの前に付き、一同に礼をしたのちに濃茶を頂きます。亭主と一言交わしたのちに、茶碗を床に置き、手持ちの懐紙で飲み口をぬぐってから次の客へと渡します。



生菓子
濃茶のときには、生菓子が出されます。「生菓子」とは、40%以上の水分量を持つ和菓子のことで、茶の席では「主菓子」とも呼ばれます。餡をつなぎにして細工した「練りきり」、寒天と砂糖を使用し、透明感ある見た目が涼しげな「錦玉」、薯蕷から作られる「くず」などが代表的です。



薄茶の作法
大多人数での茶会のときには「薄茶」を点てます。「薄茶」とは、比較的若い茶木から摘んだ茶葉から作られるもので、濃茶よりも軽い味わいが特徴です。薄茶の場合は、茶を「点てる」と言います。



亭主から正客に抹茶を差し出されてから受け取るところまでは濃茶の流れと同様です。飲む際は、茶碗を左ヒザの前に置き、次の客に「お先に」と声をかけ、ヒザの前へと茶碗を移動させてから、亭主に「頂きます」とあいさつします。左手の手のひらに茶碗をのせ、右手を添え、少し押し出してから茶を口に含みます。飲んだあとは右手の指先で飲んだ箇所を軽く拭い、その指を手持ちの懐紙で拭き取り、茶碗を、畳の縁の向こう側へと置きます。



干菓子
薄茶のときは、もち米の粉などに砂糖を混ぜた「干菓子」が出されることが一般的です。会によっては生菓子を出す場合もあるようです。

関連記事