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2011年12月23日

常連さんの手造り

もう30年以上も当店を可愛がってくださる常連さんが手造りの山葵漬けを持って来てくれました。
凄く食通の方でイクラも時期になると自分で漬け、自宅の庭では家庭菜園もしてるとか…?
前回来店されたときに山葵を数本欲しいというので、どうするのか聞いてみると、山葵漬けを作るという事で、出来上がりを楽しみしていました。

常連さんの手造り
他のお客さんたちにも振る舞い皆さんビックリ…プロ顔負けの味でした。
 
山葵漬けは、粕漬けの一種で静岡県の名産であるのは皆さんもよく知っていると思います。
(静岡市の駿府公園には山葵漬け発祥の地の碑もあるくらいですから…)

山葵を加工するという技術は、江戸時代中期頃から向上しはじめ、酢漬け・ぬか漬け・どぶろく漬けなど多種多様な料理が考えられたと言われています。現在の酒粕に漬けるようになったのは、清酒が出始めてきた、江戸後期に府中(現静岡市)の商人が考えたとされています。(当時は山葵漬けだけではとても商売はできず、副業として製造していたようです)

山葵漬けが世に出回り始めたのは、明治22年に東海道線が開通し、静岡駅でお土産品として販売されてからで、特に昭和23年から30年かけては爆発的な人気を誇り、お土産として全国区になりました。そして「山葵漬けといえば静岡」と言われるようになったのです。
現在では、酒粕を使った山葵漬けだけではなく、山葵海苔、山葵味噌、数の子入りなど、多種な山葵商品が販売されていますが、技術の進歩によって合成の添加物で製造してしている山葵商品が多く流通してしまっています。

山葵漬けは、山葵の根、茎をみじん切りにし、塩漬にしてから、熟成させた酒粕に和えて食塩、砂糖などを練り合わせて作りますが、新粕(白い色)で山葵漬けを造ると、全くといっていいほど、辛味・風味がのらず苦味や後味の悪さだけが残ります。
熟成酒粕(薄い桜色)で作る事が重要ですと、これで作ると山葵本来の味を引き出してくれますし、ほのかに口に残る甘さがなんともいえません。熟成した塩漬け山葵を混ぜますと、薄い黄色っぽい色に変化します。

山葵の鋭い香りと辛味が酒粕の甘みによって和らげられ、口当たりを良くしている山葵漬けはご飯のおかずとしては勿論、酒の肴としてそのまま、あるいは蒲鉾などに和えて食べると相性抜群で、納豆と混ぜて食べると納豆の臭みも消え、食べやすくなりますし、暑い夏場では、サンドイッチにして朝食に食べるのも意外にお勧めです。

皆さんも手造りの山葵付けに挑戦して、色々な食べ方を試してみてはどうですか…?
 
山葵漬けの保存方法…密封容器で冷蔵、もしくは冷凍で保管して下さい。山葵漬けは、高温・乾燥・光線焼けが天敵です。長期間で食べたい場合は、食べる量を小出しにして、なるべく常温におかないように気をつけて下さい。
 


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Posted by きくいち at 10:17│Comments(0)大将

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