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2017年04月09日

一目置かれる和食の雑学「本膳料理・会席料理・懐石料理」の違い

会席料理、懐石料理、本膳料理。それぞれどういう料理かが分かると、和食の伝統的なスタイルが理解できます。今日はそれぞれの料理について紹介します本

間違えられやすい日本料理…正式な日本料理には会席料理・懐石料理・本膳料理の3種類があります。これらはそれぞれルーツが異なりますが、いずれもフォーマルな料理形式です。 特に会席料理と懐石料理は現代もよく耳にしますが、読み方が同じことから混同されやすい料理形式でもあります。

会席料理 …和食の中で最も正式な本膳料理が廃れてしまった近代、本膳料理に代わって正式な和食として台頭したのがこの会席料理です。すなわち、本膳料理の流れを組んでおり、酒を楽しむような席(宴会)で振る舞われる、現代において最もメジャーかつ正式な和食の形態ということになります。

一目置かれる和食の雑学「本膳料理・会席料理・懐石料理」の違い

会席料理とは「酒を楽しむためのもの」なのです。 会席という意味はもともと歌や俳諧の席の事を言います。江戸時代にこういった会席が料理茶屋で行われるようになり、主席向きの料理が工夫されるようになりました。会席料理は一汁三菜を基本とし、お通しや様々な肴が加えられ、最後にご飯が出るという流れになっています。お酒の席や旅館などの食事は基本的にこの会席料理です。

会席料理は宴会の席の料理というのが定着しています。懐石料理より豪華なものが多く、ご飯も炊き込みご飯など旬の食材を使っています。
献立もさけに合うメニューになっています。先付け(口取り、八寸)が先に出てご飯が最後に出てくるのがいかにも宴会料理ですね。基本は一汁三菜で一汁五菜や二汁五菜、二汁七菜などがあり、数が増えるほど豪華になります。偶数より奇数のほうが縁起が会席料理良いということで「菜」の数は必ず奇数になっています。旅館や料亭で出される料理はほとんどが会席料理といっても良いでしょう。

懐石料理 …懐石料理はお茶会の前にお腹を満たすために供されていた料理です。
そのため、元々は満腹にならない程度のささやかな食事でしたが、現代では豪華な食事へと変化しています。
茶会へ出席しているお客様への料理であるので、「温かいものは温かいうちに」「冷たいものは冷たいまま」料理が供されるなど、随所に「おもてなしの心」が活きています。また、会席料理ではご飯が供されるタイミングが最後であるのに対し、懐石料理では初めに提供されます。

一目置かれる和食の雑学「本膳料理・会席料理・懐石料理」の違い

懐石料理は、お茶会で最も正式にお客様をもてなすときのお料理のことです。お茶会の時に空腹だと出される濃茶(こいちゃ)をおいしく頂くことができないため、ささやかな軽い食事をとることになっています。それが懐石料理です。(中略)もともとは最も簡素な一汁一菜が基本でしたが、現在では一汁三菜とされ、飯、汁、向付に、煮物、焼き物がつきます。 このあと吸い物、八寸、最後に湯桶(ゆとう)と香の物が出されて終わります。このように形式を重んじるのも懐石料理の特徴です。

本膳料理…本膳料理は、最も豪華且つ儀礼的な日本の伝統的料理形式です。しかしその作法の厳しさや食べ方の複雑さから、現代に至るまでに廃れてしまい、簡略化された会席料理が主流となりました。 料理形式は元々本饗の膳、二の饗の膳、三の饗の膳からなりましたが、現代にわずかに残る本膳料理は一汁三菜、二汁五菜、三汁七菜などの種類があります。

一目置かれる和食の雑学「本膳料理・会席料理・懐石料理」の違い

本膳料理は、日本料理の正式なお膳立てで、現在の日本料理の形式や作法上の基本となります。本膳料理は、武家の礼法が確立いたしました今から五百数十年前の室町時代に始まり、江戸時代に大きく発達した料理であります。かつて婚礼をはじめ、冠婚葬祭の料理といえば、飛騨に限らず全国的に本膳料理であったわけです。

現代では正式な本膳料理を目にすることはほとんどありませんが、現代の婚礼のときの三三九度や、引き出物の折り詰めや引き菓子は、本膳料理の様式の名残が見られます。

【料理形式とマナー 】
懐石料理や会席料理は特別な作法が必要な席ではありません。一般的な和食のマナーを守っていればよいでしょう。ただし、「手に取った時に器やお皿を傷つけないよう、手元に宝飾品をつけない」、「繊細な香りを侵さないよう、香りの強い香水をつけない」などの配慮が必要です。

○強すぎる香水
日本料理は、味覚だけでなく香りも同時に楽しむ要素があります
特別な日の会席料理などではお洒落をしたくなりますが、料理の邪魔になるような強すぎる香水などは控えましょう。
○ゴージャスなアクセサリー
大きな指輪や長めのネックレスなどのアクセサリーは、繊細な食器類やテーブルなどを傷つけてしまうかもしれません。
なるべくさりげないものを身に付けるか、気になる場合は外しておきましょう。

会席料理・懐石料理・本膳料理の中で最も作法が厳しいのは本膳料理です。現代でマナー違反と言われる不作法と共通する点もいくつかありますが、料理を食べる順番など細かい決まりがたくさんあります。最も特徴的なものは「食事中の談笑は禁止」というもので、会席料理や懐石料理のような「客をもてなす料理」とは一線を画します。

本膳マナー
○客の正面に本膳、下座に二の膳が並べ終わると食事の始まり
○食事中は蓋は膳のわき下に置く
○飯茶碗を持って一口食べたら、汁椀に変えて一口飲むという動作を3回繰り返す
○まんべんなく平(ひら)・膾の料理に一通り箸を付ける
○箸で取りにくいときは、食器を手に持つ
○皿から皿への移り箸はタブー
○姿焼きの魚の場合は骨を取り分け、裏返しにしない。
○飯は一口残して湯漬けにして、香の物と一緒に食べる。
○食事の終わりには食器に蓋をする
○菓子は懐紙にとり、楊枝で切り分けて食べる
○食事中は談笑しない。会話は食事が終わってから

このように、本膳料理・会席料理・懐石料理にはルーツや元の食事形態の意味にいくつか違いがあります。しかし現代では、お店によっては厳密な区別がなされておらず、単純に「正式な和食」として「懐石料理」「会席料理」と謳っている場合があります。 実際にこのような席につく場合は、細かな違いはさておいて、「基本的なマナーを守りつつ楽しく食事をする」ことを大切にしたいものですおすまし


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Posted by きくいち at 16:01│Comments(0)大将コース料理

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