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2011年05月06日

「おしつけ」と「さっとう」

連日のように市場の水揚げ情報のFAXが小田原から送られてきます。
その中に「おしつけ」と言う魚がありました。
恥ずかしい話ですが私も耳にしたのが初めてで、直ぐに電話をして聞いて見たところ
アブラボウズ」のことを小田原ではそう呼んでいるとのことでした。

アブラボウズは深海魚で魚体も大きく1.5メートル位で身に多量の脂質を含んでいるために多量に食べると下痢などを起こす言われています。ただしバラムツ、アブラソコムツなどとは違って、脂そのものに原因があるものではなく食べ過ぎなければ食べても問題はありません。
小田原では「おしつけ」がこの魚で当地では珍重されているようです。

地元出身の板前に聞いてみると 刺身はまったりと脂が重く甘味があって美味らしのですが、脂が多いために多くは食べられず食べ過ぎに注意が必要とのこです。
その他では主に煮付けにするようですがこれはトロッとして美味で刺身状に切り、しゃぶしゃぶにするのも美味しいらしく煮付けは限りなくギンダラに近いようで脂が多くて柔らかく、旨味があると言っていました。

脂の強い魚で食べ過ぎると下痢を起こすと言うことで思い出した魚が有ります。
かれこれ35、6年前の事ですが私が修業中に「さっとう」と言う魚を扱ったことがありました。

さっとう」は正式には「アブラソコムツ」、意としては、「脂・底・ムツ」です。ムツ、は魚のムツ。
なぜ「さっとう」というかというと、由比・興津あたりをサッタ峠と呼ぶらしく、その近くで偶然あがることが多いので、「さっとう」と呼んでいると若い頃、聞かされた記憶があります。
この「さっとう」今では取り引き禁止の深海魚なのだそうです。
さっとうは容貌の醜い深海魚で、全身が脂の固まりのようで、味は、銀ムツ(メロ)に似ていて
味噌にたっぷり漬け込んだ物を焼いて食べるのですが、体内の油脂成分のほとんどが、下剤様作用が有り人体で消化することができないのです。そのため、大量に摂取すると、皮膚から油が漏れる病気を起こしたり、消化吸収されなかった油脂が肛門からそのまま漏れ出し、あるいは下痢や腹痛を起こす場合があり、注意するように言われていました。

食品衛生法に定められ厚生労働省から販売禁止に指定された食品で今はもう市場には出回らないのですが、釣獲するか漁網に掛かり廃棄されるものを分けてもらうなど、売買以外の方法での入手は可能です。

懐かしくも今は食用不可の魚です! 


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Posted by きくいち at 09:25│Comments(0)大将

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