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2017年02月14日

プロも利用する江戸時代以前の調味料!!

煮物や焼き物など、幅広く活用できる和食の調味料と言えば醤油ですが、庶民に広まったのは江戸時代と言われています。 では醤油ができる前は、どのような調味料が使われていたのでしょうはてな そこで今回は、江戸時代以前に重宝したという古き良き調味料を紹介しますお得(当店でも利用しています)

プロも利用する江戸時代以前の調味料!!

さっぱりした味わいの「煎り酒」
今では日本の代表的調味料となっている醤油ですが、江戸時代の初期までは高級品だったのだといわれています。 庶民は酒と鰹節と梅干しで作る「煎り酒」という調味料を醤油の代わりに使っていたのです。 煎り酒は醤油よりもさっぱりとした味わいで、刺身・煮物・焼き魚など、様々な料理に合います。

煎酒とは、読んで字のごとく、煎った(煮詰めた)お酒。日本酒に削り鰹節と梅干しを入れ弱火でとろとろと煮詰めたもので、室町時代末期に考案されたといわれます。江戸時代中期まで広く用いられ、醤油が希少品だった時代の日本料理にはなくてならない重要な調味料でした。

煎酒の味は…鰹節の旨みがギュッと濃縮されたところに梅干しの酸味とほどよい塩気が加わって、醤油よりも穏やかでさっぱりした風味。味加減のことを「塩梅(あんばい)」と書くように、梅の酸味と塩分が絶妙なバランスです。

プロも利用する江戸時代以前の調味料!!

煎り酒の作り方
材料…(500ml瓶 約1本分) 日本酒…900ml、梅干し…2~3個、鰹節…30g、塩…小さじ1
1.鍋に日本酒とつぶした梅干しを種ごと入れ、塩を加えて中火にかける。
2. 沸騰してきたらかつお節を加えて弱火におとす。鰹節が少し動く程度の火加減で約30分ほど、ふたをしないで煮詰める。
半分くらいの量になるまで煮詰めたら火を止め、粗熱がとれるまでそのまま冷ます。
3.ペーパータオルを敷いたザルで(2)をこしたら、保存用の瓶に詰める(冷蔵庫に入れれば、2週間ほど保存可能)

減塩効果も期待できる「水塩」
「水塩」も「煎り酒」と同じく、醤油が普及する以前に使われていた調味料です。 当時は海水を煮詰めて作っていました。 現在ではスプレーで噴射して魚や肉に下味をつけるなど、水塩の便利さが見直されています。

日本を代表する調味料と言えば醤油ですが、醤油が普及する以前では調味料として水塩が用いられていました。長亨3年(1489)の「四条流包丁書」の中にも「ウシホヲ汲テ先ず煎ジテ」と海水を煮詰めて作る調理法が見受けられます。「ウシホ」というのは潮煮や潮汁の「うしお」のことです。日本料理のスーパーシェフたちは自前の「水塩」を隠し持って使用しているのです。ミネラル分が多く含まれた塩を水に溶かし、調味料として使用する方法は、かつては顧みられていませんでしたが、現在、世界の料理人たちに見直されているのです。

魚のあらに塩をする時、骨だらけで上手に塩を塗れませんよね。そんな時、基本の水塩を使えば手も触れずに万遍なく塗ることができます。
お肉の下味もシュッと噴きかけるだけなので手も汚れず簡単。 手を洗う手間が省けるのですぐに次の作業に入れるので時短になります。

プロも利用する江戸時代以前の調味料!!

水塩の作り方
材料、塩…50g、水…150cc、コーヒーフィルター…1枚
1. 塩を溶かす…水を沸かし、湯に塩を少しずつ入れて溶かす。
2. 冷ます…ある程度溶けたら、ボウルなどに移して冷蔵庫へ。この時点ではまだ白く濁っている。
3. 濾す… しっかり冷えたら、コーヒーフィルターで濾す。 濾した後の水塩。かなりクリアになっている。

水塩は沸騰させたお湯に塩を溶かして、コーヒーフィルターなどでこせば作れます。その時の分量は、塩と水を1:3にすると良いです。

室町時代に起源を持つ麺汁「煮貫」
煮貫とは、醤油風味の麺汁が普及する江戸時代中期まで用いられていた味噌仕立ての調味料です。昔は味噌と水を煮詰めて、濾したタレ味噌や、それに鰹節を加えた煮貫で、うどんやそばを食べていたそうです。 現在のタレという言葉はこのタレ味噌の名残とも言われています。

寛永20年(1643)以前の江戸時代初期に書かれたとされる「料理物語」は、当時の蕎麦汁について次のように記している。
汁は、うどん同前。其上大こんの汁くはへ吉。 はながつほ、おろし、あさつきの類、又からし、わさびもくはえよし。
このうどんの汁とは、同書のうどんの説明で出てくる、「煮貫」または「垂れ味噌」でつくるつゆである。垂れ味噌というのは、味噌に水を加えて煮詰め、布袋に入れて漉した(垂らした)もので、室町時代の記録にも出てくる。火を入れない場合は「生垂れ」と呼んだ。煮貫は生垂れに削った鰹節を入れて煮詰め、漉したものである。現在、蕎麦の漬け汁を「タレ」ということがあるが、これは垂れ味噌を略した名残ともいわれる。

煮貫の作り方
味噌を3倍の水で溶いて、 下からボウル、ザル、キッチンペーパー、ザルの順番でセットしたら濾します。 水で溶いた味噌を濾し布で濾した液体を生垂(なまだれ)と言います。
生垂を鍋に移して煮立ったら、中火にして鰹節を入れて数分間煮出します。 鰹節を入れて煮出し、再び濾したものを煮貫(にぬき)と言うようです。 常温になるまで冷ましたら「煮貫」の完成です。

梅干しのペースト「梅びしお」

梅干しをペースト状にした梅びしおという調味料も江戸時代には作られていたという記録のあるます。古くは、裏ごしした梅に昆布を加えて練り上げるというレシピもあったようで、ご飯やお粥に添えたり、魚や肉料理の味付けにしたりと、さまざまな使い方ができます。

そのままご飯やお粥に添えたり、野菜をあえたり。麺の漬け汁ドレッシングに加えて。山葵が苦手な子供には、お刺し身に添えても。魚の梅煮、肉料理の下味付けにもどうぞOK 保存は冷蔵室で。未開封で1年は保存可能ですが、使用開始後は1カ月を目安に使いきってください。多めに作り、小分けにしておくのも便利です。

プロも利用する江戸時代以前の調味料!!

梅びしおの作り方
材料(作りやすい分量:でき上がり量約150g)、 梅干し*(種付き)…300g/裏ごしして正味120g、* 赤梅干し、白梅干しどちらでもお好みのものを…。 花見糖…大さじ2、味醂…大さじ2
1.梅干しは水に2~3時間つけ、塩分が少し残る程度に塩抜きし、ざるにあげ水けをふき取る。
2.1の種を除きながら、ザルなどで果肉を裏ごしする。
3.小鍋に2、味醂、砂糖を入れ、弱火にかけながら練る。
4.みそ程度のかたさになったら火を止め、粗熱がとれたら熱湯消毒した保存びんに移す。

肉や魚を柔らかくしてくれる「酒塩」
酒に少量の塩を加えて味を整えた酒塩は、古くから調味料として使われていたそうです。 下処理に漬け込んだり、仕上げに塗ったりと、様々な使い方ができます。魚の切り身を焼く時にあらかじめ酒塩に浸しておくと、焼き色がきれいに仕上がるだけでなく、味もしまって一層美味しくなるのです。

また、小鍋に酒塩を入れ、魚介類やきのこなどを加えてさっと火を通したり、串打ちしたイカに酒塩をかけてさっと焼き、そのあとウニを塗る、酒塩につけて蒸すなど色々な用途に使われています。

ラベルに「料理酒」と書いてある商品の大半には塩が入っています。一方、「清酒」と書かれているものは食塩が無添加です。
平安時代からあるという酒塩ですが、現在では「料理酒」として流通しているとのこと…びっくり

江戸時代以前に作られた調味料には先人の知恵が詰まっていて、現在でも愛用している料理人が多くいます。 皆さんも普段作っている料理にこれらの調味料を使えば、新たな味を発掘できるかも知れませんよニコニコ


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Posted by きくいち at 09:49│Comments(0)菊一本店

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