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2011年09月01日

一粒の白き麺づくり(氷見うどん)

富山の海津屋さんから注文してあった氷見うどんが届きました。
以前ブログでも紹介しましたが、私が一番気に入っているこのうどんを皆さんにも是非味わって
いただきたいと9月のコースのメニューに取り入れたのです。

一粒の白き麺づくり(氷見うどん)

氷見うどんは、富山県氷見市周辺の郷土料理で、作り方は稲庭うどんと同じで竹によりながらかける手縫いで、油を塗らないのが特徴です。そのルーツは輪島の素麺で、その技法を取り入れて作り始めたと言われています。

氷見に現在のような手延べ製法によるうどんが伝えられたのは江戸中期のことだと伝えられています。当時、輪島には加賀藩の御用素麺として白髪素麺がありましたが、次第に衰退し、やがて絶えてしまいました。今では当地氷見と、氷見からさらに伝えられたという砺波市の大門素麺として残っています。その輪島にはどのようにして伝えられたのかというと、これには2つの説が考えられているようです。

その一つは現在の形の素麺(当時は索麺といいました)は禅僧によって中国から伝えられ、各地の禅寺に広められたようで、能登門前町には曹洞宗総本山総持寺があり、現在でもここの僧侶は四九日(修行僧侶が座禅を休む日で、四と九の付く日)にはうどんを食べる習慣があり輪島のうどんは先ず総持寺に伝えられ、そこから広く民間に広まったという訳です。

もう一つの説は 遣唐使によって伝えられたものが、後年、北前船で各地に広まったとする説で、秋田の稲庭うどん、長崎県・五島列島の五島うどんなど、氷見と並ぶ手延べうどんの古くからの産地は、多くが日本海側に位置しています。これらは、又、北前船の寄港地にも近く、関連が考えられているらしく、北前船の寄港地近くで、且つ良質の小麦の産地に産業としてのうどん、そうめん製造業が栄えたのではないかという訳です。

輪島地方には、製麺業こそ絶えたものの、能登麦屋節という民謡が伝えられています。これは石臼で小麦を挽く時の唄だといいます。富山県には、城端地区に越中麦屋節があります。製麺技法と共に民謡も又、伝えられたのでしょうか…?

日本うどん学会の会長を務める三宅耕三・香川短大教授も「定説はない」との見解で、現状では「讃岐」と「稲庭」がうどんの一大産地としてほぼ「当確」、第三のうどんには、長崎県の「五島
群馬県の「水沢」、富山県の「氷見」のほか、名古屋の「きしめん」を挙げています。

一粒の白き麺づくり(氷見うどん)

氷見の産物は色々ありますが、魚に並んで人気の産品が手延うどんです。細目で腰の強いこのうどんは、味は勿論のこと、歴史的にも古く、手打ちうどんの十数倍という手間と時間をかける製法の為、生産量が少なく「幻のうどん」と呼ばれているのです。

ひやむぎより若干太く、薄く黄色がかった色をしている乾麺で、食用植物油を使用せず打ち粉としてでん粉を使う点や、乾燥前につぶす事による平べったい形状が製造工程の特徴です。手延べ製法で作られた麺は気泡が入っており、中空になっているため、食感は滑らかなのです。

氷見うどんのこだわり、手延べと手打ちの製品の違い、手打ちうどん

一粒の白き麺づくり、海津屋氷見うどんのこだわり
能登・輪島素麺の「手延べ」の技を受け継ぎ、季節や日々の天候・気温に応じて、水・塩加減を微妙に調節していく。麺の生地を踏む「足踏み」を繰り返し、「手延べ」の製法に独自の工夫を重ね、油を使わずに仕上げる「海津屋」さんのこだわりは、独特の強いこしと粘り、餅のような食感と風味を生み出しているのです。

手打ちうどん
麺生地を綿棒を使って3ミリ厚程の薄板状に延ばし、これを包丁で線切りする、最もポピュラーな製麺法。この綿棒を圧延ロールに、包丁を切り刃ロールに変えたのが機械製麺です。最近ではほとんどが機械麺に変わっているようです。

手延べと手打ちの製品の違い
うどんの特徴である腰の強さは、小麦粉中の蛋白質成分であるグルテンが寝かしの工程中に結びつき、立体的な網目構造を形成することにより、出て来ますが、手延べの場合、一つの方向に5000分の1の太さにまで引き延ばされ、撚りも掛かる結果、強靭で弾力的で茹で延びしにくく、食感は口当たりが滑らかで柔らかいが、歯ごたえは固く歯切れがよいという、うどんに求められる理想的な特徴を示します。
これに対し、手打ちは歯ごたえ柔らかく、弾力的のびがあり口当たりは滑らかだが歯当たりは粘る特徴があります。好みの問題もありますが一般的には手延べの方が遥かに高く評価されています。


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