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2011年09月28日

芋としての存在感が溢れる海老芋

山でとれるのが山芋で、里でとれるのが里芋、その里芋の最高級品が海老芋です。

普通の里芋と比べると、粘り気に富みよく締まった粉質の肉質、優れた風味ときめ細やかで甘味に満ち、芋としての存在感にあふれています。煮込んでも形が崩れず、中まで味がよくしみ色も変化しないことから、一般的な里芋とは違って高級食材として扱われています。特に煮物には最適で、懐石料理やおせち料理には欠かすことのできない食材となっていて、京料理のの芋棒は海老芋を使った料理としては有名です。このほか、親から子へ次々と増えて成長することから縁起物としても重用されています。
海老芋は、10月の後半から出回りはじめ、12月、1月あたりが旬で、3月ぐらいまであります。
そこで、来月は旬の走りの海老芋を使った料理をコースに取り入れました。

芋としての存在感が溢れる海老芋
海老芋のグラタン(濃厚なクリームグラタンで海老芋の肉質を味わって下さい)

芋としての存在感が溢れる海老芋
海老芋の揚げ出し(海老芋のシンプルな甘味を引き出した品です) 

里芋は縄文時代中期に伝来し、わが国では稲より古くから栽培されていますが、海老芋は、江戸中期に青蓮院の門跡が長崎から持ち帰ったものを、平野権太夫が栽培してつくりあげたものです。海老のように反りがあり、縞模様まであったので、その名がついたようです。平野権太夫は、円山公園にある京料理店「いもぼう平野家本家」の祖先で、海老芋も当然のように京野菜ブランドに名をつらねています。
生産地も京都中心で大阪や徳島県・高知県でも作られていますが現在は全国シェアの8割が静岡県の旧豊岡村から旧竜洋町(現磐田市)にかけての天竜川東岸で収穫されており、日本一の産地となっています。
  
この地域に海老芋栽培が大きく発展したのは何度も土寄せをするなど、栽培に手間がかかることで他の地方の生産者が激減したこと、さらに養蚕の後退に伴う桑に変わる転作作物としてこの地方に導入されたこともあり本場の京都や大阪周辺といった近畿地方の海老芋産地が次々と住地化されていったため、中遠地方が主産地となりました。
勿論、海老芋栽培に適した土壌条件であったことも大きな要因で磐田市寺分や、豊岡村広瀬地区にも急速に普及し、磐田市は海老芋の一大産地として定着したのです。

地産地消、この秋は地場の海老芋を充分に味わってみては如何ですか…。

海老芋の中にも種類があり、茎が赤いものを「唐芋(本海老)」、茎が青いもの(黄緑色のもの)を「女芋」と呼びます。
  


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Posted by きくいち at 08:45│Comments(0)コース料理

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