2016年12月06日
美しい姿で美味な魚…イトヨリダイ
奥行きのある上品な味わいの白身で、料理店で取り扱われるイトヨリダイ
くせがなく旨みの強いこの魚は、蒸し物や椀種などにして賞味され、高級魚であり、特に関西で珍重されています。鮮度の良いものは刺身にして美味です
イトヨリダイはあっさりとした上品な白身で、骨は硬いですがとても柔らかな肉質です。特徴はもちろんその美しい姿です。体高は低く細長い体形で、紅色の背と白銀色の腹に鮮やかな黄色の縦縞が6本走っています。この縦縞は口から目にかけてと、背ビレや尻ビレ、尾ビレにもあります。特に、深く切れ込んだ二叉状の尾ビレの上端の縞は先端が金色の糸のように長く伸びています。 また、エラ蓋の上端に濃い赤の斑点が3個、1列に並んでいるのも特徴です。

イトヨリダイはスズキ目イトヨリダイ科に分類されます。中部以南から琉球列島を除く東シナ海、フィリピン、ベトナム、北西オーストラリアにかけて分布する暖海性の魚です。水深40~200mの砂泥底が住みかで、エビやカニ、ゴカイ、小魚などをエサにしています。産卵期は5~8月で、産卵後の秋から冬にかけてが旬です。1年で12cm、3年で30cm、最大で50cm位になります。
仲間にはソコイトヨリダイ、ヒメイトヨリ、シャムイトヨリ、ヒライトヨリ、ニホンイトヨリ、タマガシラなどがいますが、最も似ているのはソコイトヨ
リダイです。キイトヨリとも呼ばれる通り、トレードマークの縦縞が3本と少ないのですが、特に腹を走る1本が太く鮮やかな黄色です。イトヨリダイと区別せずに流通していますが、やや水っぽく味も落ちます。定置網、釣り、延縄漁で主に漁獲される。静岡県以西の太平洋側から九州にかけて漁獲されます流通量は少ないく、料理店などでの需要があり、値段は安定して高い
ちなみに、ニホンイトヨリは東シナ海からインド洋に分布し、タイやインドなどから輸入されています。

【名前の由来】
イトヨリダイを漢字で書くと、糸撚鯛、糸縒鯛、糸繰魚、金線魚、金糸魚等…別名も含めてこういう字を当てます。字を見るとなるほどイメージが湧いてきますね。やはり、漢字って素晴らしい
イトはもちろん尾ビレの先端が金色の糸状に伸びている様です。泳ぐ様子が、この金糸を撚っているように見えることから付いた名前です。鯛はもちろん「あやかりダイ」ですが、これは後で付いたようで、昔は単にイトヨリと呼んでました。英名は golden thread (金色の糸)です
地方名にはイトヒキ(山陰、京都)、アカナ(鹿児島)、ヒナイオ(富山)、アバイトヨリ(和歌山)等々たくさんあります。
【公方様の大好物】
イトヨリダイは讃岐地方では「三升米」という別名があるそうです。これは、イトヨリダイ1尾が米三升に相当するというたとえです。さらにすごいのは1尾につき炭100俵というのもあります。徳川の11代将軍家斉はイトヨリダイがいたく気に入って、1尾献上する度に、褒美として炭100俵を与えたというのです
米三升と炭100俵、当時はどちらが高いのかよく分かりませんが、いずれにしても昔からいかに珍重されてきたかがうかがえますね
美貌と美味を備えたイトヨリダイは、さらに色持ちの良さも備えています。水揚げされた後も色褪せないので「祝い鯛」として十分だったのです。
【選び方のポイント】
まずは目が黒く澄んでいること、黄色の縞模様が鮮やかであること、エラ蓋の上の赤い斑点が鮮やかであること、ヒレに透明感があることがポイントです。逆に、体色が白っぽく色褪せていたり、鱗が剥がれてしまっているものは鮮度が落ちています。
【調理法】
「糸撚鯛の 煮るには惜しき はなの彩り」…いざ調理しようと思って、まな板の上のイトヨリダイを見るとまさに「煮るには惜しき はなの彩り」と見入ってしまいます。そこで、調理のコツです。骨が太くて硬いのですが身が柔らかいので、鱗を引く時にはゆっくりと丁寧にして下さい。
(特徴…鱗は薄く取りやすい。皮は薄い割りに強い。骨は細いが硬い。白身で水分が多く軟らかい。熱を通しても縮まない)


刺身にするなら「皮霜造り」がお勧めです。三枚に卸して塩を振って30分ほど寝かせて身を締めます。そして、布巾をかぶせて熱湯をかけ(湯引き)、素早く氷水に漬けると身が白くならずに皮目が縮んで、旨味と甘味が引き立ちます。ポン酢、梅肉、醤油、山葵醤油、生姜醤油、いずれにも合います。蒸物、煮付け、照り焼き、塩焼き、椀種、味噌漬けも美味しく、ブイヤベースやフライ、グラタンなどの洋風料理にも向きます。
料理の方向性…身に水分が多いものの熱を通すとふっくらと仕上がり、適度に繊維質で舌触りがいい。皮目に独特の好ましい風味がある。この繊細な味を生かす料理法がいいので煮るなら薄味で、また椀種などに向いている。油を使ったポワレやシュエ(野菜のコンカッセや魚などを油で蓋をしたプライパンなどで素材そのものから水分を出させながら熱を通す)がいい。実に味わい深いだしが出るので、潮汁などは美味。刺身はそれほど味がないものの、皮目を生かした皮霜造りには向いています。

煮付… 水洗いして、振り塩(絶対に必要ではない)して出て来た水分を拭き取る。これを熱湯に通して冷水に落として水分をよく拭き取る。鍋に酒、味醂、水を入れてイトヨリを入れて火をつける。アクを取りながら煮て、醤油を加えて火を通していく。これで鍋止め。そのまま温かい状態で食べてもいいし、冷まして食べても美味しいです
繊細な味の高級魚…是非味わってみて下さい


イトヨリダイはあっさりとした上品な白身で、骨は硬いですがとても柔らかな肉質です。特徴はもちろんその美しい姿です。体高は低く細長い体形で、紅色の背と白銀色の腹に鮮やかな黄色の縦縞が6本走っています。この縦縞は口から目にかけてと、背ビレや尻ビレ、尾ビレにもあります。特に、深く切れ込んだ二叉状の尾ビレの上端の縞は先端が金色の糸のように長く伸びています。 また、エラ蓋の上端に濃い赤の斑点が3個、1列に並んでいるのも特徴です。

イトヨリダイはスズキ目イトヨリダイ科に分類されます。中部以南から琉球列島を除く東シナ海、フィリピン、ベトナム、北西オーストラリアにかけて分布する暖海性の魚です。水深40~200mの砂泥底が住みかで、エビやカニ、ゴカイ、小魚などをエサにしています。産卵期は5~8月で、産卵後の秋から冬にかけてが旬です。1年で12cm、3年で30cm、最大で50cm位になります。
仲間にはソコイトヨリダイ、ヒメイトヨリ、シャムイトヨリ、ヒライトヨリ、ニホンイトヨリ、タマガシラなどがいますが、最も似ているのはソコイトヨ
リダイです。キイトヨリとも呼ばれる通り、トレードマークの縦縞が3本と少ないのですが、特に腹を走る1本が太く鮮やかな黄色です。イトヨリダイと区別せずに流通していますが、やや水っぽく味も落ちます。定置網、釣り、延縄漁で主に漁獲される。静岡県以西の太平洋側から九州にかけて漁獲されます流通量は少ないく、料理店などでの需要があり、値段は安定して高い


【名前の由来】
イトヨリダイを漢字で書くと、糸撚鯛、糸縒鯛、糸繰魚、金線魚、金糸魚等…別名も含めてこういう字を当てます。字を見るとなるほどイメージが湧いてきますね。やはり、漢字って素晴らしい


地方名にはイトヒキ(山陰、京都)、アカナ(鹿児島)、ヒナイオ(富山)、アバイトヨリ(和歌山)等々たくさんあります。
【公方様の大好物】
イトヨリダイは讃岐地方では「三升米」という別名があるそうです。これは、イトヨリダイ1尾が米三升に相当するというたとえです。さらにすごいのは1尾につき炭100俵というのもあります。徳川の11代将軍家斉はイトヨリダイがいたく気に入って、1尾献上する度に、褒美として炭100俵を与えたというのです


美貌と美味を備えたイトヨリダイは、さらに色持ちの良さも備えています。水揚げされた後も色褪せないので「祝い鯛」として十分だったのです。
【選び方のポイント】
まずは目が黒く澄んでいること、黄色の縞模様が鮮やかであること、エラ蓋の上の赤い斑点が鮮やかであること、ヒレに透明感があることがポイントです。逆に、体色が白っぽく色褪せていたり、鱗が剥がれてしまっているものは鮮度が落ちています。
【調理法】
「糸撚鯛の 煮るには惜しき はなの彩り」…いざ調理しようと思って、まな板の上のイトヨリダイを見るとまさに「煮るには惜しき はなの彩り」と見入ってしまいます。そこで、調理のコツです。骨が太くて硬いのですが身が柔らかいので、鱗を引く時にはゆっくりと丁寧にして下さい。
(特徴…鱗は薄く取りやすい。皮は薄い割りに強い。骨は細いが硬い。白身で水分が多く軟らかい。熱を通しても縮まない)


刺身にするなら「皮霜造り」がお勧めです。三枚に卸して塩を振って30分ほど寝かせて身を締めます。そして、布巾をかぶせて熱湯をかけ(湯引き)、素早く氷水に漬けると身が白くならずに皮目が縮んで、旨味と甘味が引き立ちます。ポン酢、梅肉、醤油、山葵醤油、生姜醤油、いずれにも合います。蒸物、煮付け、照り焼き、塩焼き、椀種、味噌漬けも美味しく、ブイヤベースやフライ、グラタンなどの洋風料理にも向きます。
料理の方向性…身に水分が多いものの熱を通すとふっくらと仕上がり、適度に繊維質で舌触りがいい。皮目に独特の好ましい風味がある。この繊細な味を生かす料理法がいいので煮るなら薄味で、また椀種などに向いている。油を使ったポワレやシュエ(野菜のコンカッセや魚などを油で蓋をしたプライパンなどで素材そのものから水分を出させながら熱を通す)がいい。実に味わい深いだしが出るので、潮汁などは美味。刺身はそれほど味がないものの、皮目を生かした皮霜造りには向いています。

煮付… 水洗いして、振り塩(絶対に必要ではない)して出て来た水分を拭き取る。これを熱湯に通して冷水に落として水分をよく拭き取る。鍋に酒、味醂、水を入れてイトヨリを入れて火をつける。アクを取りながら煮て、醤油を加えて火を通していく。これで鍋止め。そのまま温かい状態で食べてもいいし、冷まして食べても美味しいです

繊細な味の高級魚…是非味わってみて下さい

Posted by きくいち at 15:23│Comments(0)
│旬の魚