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2011年10月05日

縞の帯があり、ナイフのような顎をしている魚(石鯛)

石をも噛み砕く歯を持つ魚」と呼ばれているのが石鯛です。

石鯛は生息環境の厳しさ・個体の少なさ・成魚の大きさ・引きの激しさから磯釣りの対象として人気が高く、特にクチグロは釣り人の憧れの的ともなっている魚で暖流に面した、浅い海の岩礁域に生息しています。成魚は海底の岩陰や洞窟に潜んだり、海底付近を泳ぎ回り釣り以外に定置網などでも漁獲されます。(生息域は北海道南部から九州までの全国各地の磯や浅い岩礁です)

この魚は魚類にしては好奇心が強いことでも知られ、スキューバーダイビングや漁などの際に人が近づいても逃げないことがあり稚魚は波打ち際付近にもやってきて、タイドプールで見られたり、海水浴場で泳ぐ人間の身体を口で突いたりもします。稚魚や若魚は水族館などでよく飼育され好奇心が強いことを利用して、輪くぐりなどのショーを行う施設もあります。
  
食性は肉食性で、甲殻類、貝類、ウニ類などを捕食し、くちばし状の顎で噛み砕いて中身を食べてしまうので俗に「サザエの貝殻も噛み砕く」とも云われます。ただし成長が遅く長命な魚なので、乱獲の影響で大型個体が減っています。 

縞の帯があり、ナイフのような顎をしている魚(石鯛)

青葉の頃から晩秋までが旬でどことなく夏の魚でというイメージがありますが、食材としての旬は秋ではないでしょうか…。値段の高い魚で30〜40センチのものがもっとも好まれ石鯛の刺身はとても美味です。

一般に魚は大きくなってから味がよくなるものですが石鯛はは寒い時期には小さいものも負けないほどに旨味脂がありこの小振りの刺身も絶品です。残念なのは意外に塩焼きがその値段ほど美味しくなく、刺身ではほとんど気にならない磯臭さが出てきます。この磯臭さによって「熱を通す料理」には好き嫌いがでるのではないでしょうか…。
 
身は白身で、全長40cm程度までが美味とされ大型個体は却って味が落ち、シガテラ中毒の危険もあるので食用には向かきません。また、死後に時間が経つと磯臭さが強くなるので、この点でも注意をして下さい。主な料理法は刺身、洗い、寿司種、塩焼き、煮付け、唐揚げ、ポワレなどです。 

特徴ですが、成魚は全長50cm程度で、稀に全長70cm・体重7kgを超える老成個体が漁獲されます。体型は左右から押しつぶされたような円盤型で、顎がわずかに前方に突き出ていて鱗は細かい櫛鱗で、ほぼ全身を覆っています。口は上下の顎ごとに歯が融合し、頑丈なくちばしのような形状になっているのも特徴です。

体色は白地に7本の太い横縞が入っていて、成長段階や個体によっては白色部が金色や灰色を帯びたり、横縞が隣と繋がったりもしていて幼魚や若魚ではこの横縞が明瞭で、この時期は特にシマダイ(縞鯛)とも呼ばれます。ただし成長につれて白・黒が互いに灰色に近くなり、縞が不鮮明になり特に老成したオスは全身が鈍い銀色光沢を残した灰黒色となり、尾部周辺にぼんやりと縞が残る程度になります。同時に口の周辺が黒くなることから、これを特に「クチグロ」(口黒)、または「ギンワサ」「ギンカゲ」などと呼ばれます。一方、メスは老成しても横縞が残っています。 
  
縞模様から「縞鯛(しまだい)」とも呼ばれ相模湾では縞のはっきりしている若魚を「三番叟」とも呼ぶようで、これは歌舞伎舞踏の三番叟(さんばそう)の衣装からきたものだそうです。また関東など全国的に口の周りが黒くなった老成魚を「口黒(くちぐろ)」とも呼びます。これは石垣鯛が白くなるのと対照的です。
 
市場では高級魚として扱われ生の身の上手さは、そのシコっとした食感にあります。脂は皮下にあり、これが甘く、しまった身にちらばった旨味とともに調和していて、握りにすると、この食感がなんとも心地よく当然いい味です。マグロやイカときてイシダイがいい合いの手になるのでは…。


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