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2019年05月27日

「魚介類」と「魚貝類」、「海産物」と「水産物」の違い

「魚介って何はてな」とあらためて聞かれると「魚介って魚や貝のことでしょはてな」と、疑問符を付けなければ答えられない人が多いのではないでしょうか。そこで今回はこの「魚介」の持つ意味や定義について徹底的に紹介しますナイス

「魚介類」と「魚貝類」、「海産物」と「水産物」の違い

魚介とは海や河川、湖、沼などで獲れる動物の総称のことをいいます。たとえば魚、カニやエビなどの甲殻類、貝などです。「鯨って海の中にいるんだから鯨も魚でしょはてな」と思われているかもしれませんが、実は鯨は海の中にいる動物ですが、子供を母乳で育てるれっきとした哺乳類なのです。しかし鯨は海の産物ということから、魚などと同じ魚介類の仲間に数えられています。

たこやイカなどの軟体動物も魚でもなく甲羅もなく甲殻類でも貝類でもありませんが、これもまた海にいる生き物ということで魚介の仲間です。動物ではありませんが昆布やワカメなどの海藻も海から獲れる海産物ということで魚介類の仲間なのです。

魚介、魚介類を定義付けすると、魚介類は先ほども話したように海や河川、湖や沼からの獲れる動物、それに哺乳類の鯨と、そして昆布やワカメの海藻を含めた水産物の総称を魚介、魚介類といいます。昆布やワカメなど動物ではないものが魚介類の仲間であるのは違和感がありますが、海藻類は日本の行政や産業界また日本の食品関係では水産物と扱われているため魚介の仲間に分類されます。

ただし海藻そして哺乳類の鯨も学術的には魚介、魚介類に分類されますが、文部科学省「日本食品成分表」では魚介類の項目の中に記載されていません。海藻は成分表の中では「藻類」そして鯨は「肉類」の項目で成分が記載されています。その理由を文部科学省資源調査分科会に問い合わせたところ、食品成分表の食品の分類の仕方は学術的に食品を区分しているのではなく、日常の食習慣から食品を見たかたちで分類しているので、学術的には海藻も鯨も魚介であろうとも食品成分表では藻類でありまた肉類であるそうです。海藻や鯨の成分を調べるときは注意してください。

魚介という言葉を分析してみると、魚介の「魚」は魚と海の中に生息しているけれど哺乳類である鯨やイルカのことを指します。そして「介」という字は甲殻類や甲羅を持つ動物の総称なのです。またこの「介」という字に総称される動物は古来中国に伝わる自然哲学の陰陽五行説に基づいて分類した動物をいいます。古代の中国では、自然界のあらゆるものを陽と陰に分けた思想があります。たとえば太陽は陽、月は陰、表が陽なら裏は陰、そして奇数が陽なら偶数は陰。この思想を陰陽思想と言っていますが、この思想がのちに木、火、土、金、水の5つの要素へと巡り万物が生成され自然界を構成しているという陰陽五行説という思想につながり、この思想に基づいて動物を分類した場合、甲殻類や甲羅を持つ動物の総称に「介」という文字が使われたのです。

「魚介類」と「魚貝類」、「海産物」と「水産物」の違い

海藻は別として、実際に生物的に魚介に属する動物にはどんなものがあるのか紹介します。
魚介に属する動物
脊索動物(せきさくどうぶつ)…魚類(軟骨魚類・サメ類やエイ類など、硬骨魚類・軟骨魚類以外のほとんどの魚)海産哺乳類(鯨やイルカ)、無顎類(ヤツメウナギ、ヌタウナギ)
軟体動物(なんたいどうぶつ)…貝類や頭足類(タコやイカなど貝殻のない原始的な海産動物)
節足動物(せっそくどうぶつ)…甲殻類(エビ、カニ、すっぽんなど)
棘皮動物(きょくひどうぶつ)…ウニ、ヒトデ、ナマコ、ウミユリなど
腔腸動物(こうちょうどうぶつ)…クラゲやサンゴ、イソギンチャクなど
原索動物(げんさくどうぶつ)…脊椎動物の近縁であるホヤ

このように分類された動物をさらに細かく分類すると海から獲れるものは海産物と呼び、河川や湖、沼から獲れるものを淡海産物として呼んで区別する場合がありますまるっ

「魚介類」と「魚貝類」、「海産物」と「水産物」の違い

魚介類と魚貝類の違い
「ギョカイルイ」を「魚介類」と「介」の字を使う場合は、先ほど「介」という漢字の謂れと同時に脊索動物の魚などのほかに、軟体動物や節足動物などの総称に「魚介類」という字が使われます。昔の資料には「魚貝類」という漢字が使われている場合もありますが、「魚貝類」とは一般的ではなく、おそらく魚介類の「介」を「貝」と混同して使われていたことが発祥で「魚貝類」という漢字ができたのだという説が有力で、正式に「ギョカイルイ」という場合は「介」の字を使うことが正しいとされていることが多くの場で言われています。
ちなみに魚介類は英語でシーフード(seafood)と訳しますが、直訳すると「海の食べ物」というように、英語圏内でシーフードというと海から獲れる食用の魚介類や海藻類の総称をシーフードと呼んでいます。

魚介に分類される仲間は海の中の動物のほかに河川や湖、沼いる動物そしてワカメや昆布などの海藻も含まれています。魚介の「介」の字の由来は古代中国の思想から動物を分類したものだとは面白い歴史の発見です。魚介は海の幸だといってしまうと簡単ですが、魚介、魚介類と総称されるものの範囲の広さを改めて知りました。食生活の知識に覚えておきたい内容です。

まとめ…「魚介類」と「魚貝類」、「海産物」と「水産物」の違い
魚貝類…読んで字のごとく、魚類と貝類が含まれます。
魚介類…魚類と貝類に加え、カニやエビなどの甲殻類も含まれる。
「介」という字は中国の五行が由来になっています。五行とは世の中の全ての物は5つの元素からなっていると唱えられている哲学で、介は亀、甲殻類、貝類などの鎧を持つ生物を指しています。一般的にはこれの他、タコやイカなどの軟体生物も含む事が多いです。
海産物…魚介類に加えて昆布などの海藻類も含んだ総称です。海産という言葉で分かる通り、海に生息している生物に限定されます。
水産物…海以外の水中(川や湖)に生息している生物を指します

これらは水中に棲む生物を指す言葉なのは間違いないのですが、具体的にどの生物までを含めるかによって呼び方が変わります。どの生物が分類されるのか、そしてこの言葉の語源についての雑学でしたOK


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Posted by きくいち at 07:57│Comments(0)雑学

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