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2011年09月30日

飛騨の大なす

「嫁に食わすな」とまで言われた秋茄子は、旨みがギュッと詰まった健康野菜です。朝晩に秋の気配を感じるこの季節、日中の残暑との気温差によって実が締まり、茄子が美味しくなります。

その中で今回は「飛騨の大茄子」を紹介します。 

飛騨の大なす 

長さがが15~20センチもある大きな茄子を飛騨ではそのまま焼きます。
片面焼いてやわらかくなったら、縦に切込みを入れて飛騨の味噌をはさみ、好みでごま油、花かつおなどをトッピングしその状態でもう片側から焼いて出来上がり。それを切り目を裂いて皮をむきながら食べます。早速使ってみましたが確かに甘味があり焼き物や煮物にもむいていると思います。 

さて、夏が旬である茄子が、わざわざ「秋茄子」と呼ばれて別格に扱われるのは、身体を冷やす効果の高い夏野菜の中でも、90%以上が水分でできていて、特に解熱効果が高いからではないでしょうか…? 
冷めても冷やしても美味しく食べれる茄子はよく「嫁に食わすな」と言われますがそれはやはり嫁いびりの意味でしょうか…?

「秋茄子は嫁に食わすな」とは江戸時代にできた言葉で「秋茄子わささの糟に漬けまぜて 嫁には呉れじ棚に置くとも」という歌が元になっているそうで、これを秋茄子の美味しさに着目した嫁を憎む姑の嫁いびりの言葉とするか、「茄子は性寒利、多食すれば必ず腹痛下痢す。女人はよく子宮を傷ふ」などから身体を冷やす効果を心配した嫁孝行の言葉とするか、解釈が両極端な言葉も珍しいのではないでしょうか。

「嫁に食わすな」と言われるのもに、秋鯖、秋かます、秋の鮗「このしろ」、五月蕨などがありますが、これはいずれもおいしいものを指しているのです。
また茄子は目と肝臓にも良いと言われ、皮を剥いて作る茄子料理の場合も皮は捨てずに塩揉みなどにしておくと浅漬けとして重宝する上に日持ちがして、せっかくの効果を無駄にせずに済みます。

この他に茄子は熱帯の植物であり8月上旬までに開花・結実した実でなければ発芽力のある種子を得ることが難しく、そこから秋茄子は子孫が絶えると連想したという説もあるようです。

茄子がいかに日本人に好まれてきたかは、茄子が入ったことわざや格言、料理の多さが示す通りです。代表的なものを挙げると、前述の「秋茄子は嫁に食わすな」以外に、まずは初夢に見て縁起の良いとされる「一富士 二鷹 三茄子」。 この後、「四扇 五煙草 六座頭」と続くと書かれた書物もあります。実はこの三つ、徳川家康の好きなものであった、もしくは初茄子が高価だったため、家康ゆかりの駿河の国の高いものを挙げた、という説が有力です。

また、「親の言葉となすびの花は千に一つの無駄もない」は、茄子の花が結実する割合が高いことに、親の小言を喩えた諺で茄子は花が咲くと必ず実を結ぶことを例えた、ありがたい格言です。 

冷房が必要な時期もあとわずかです。旨みがギュッと凝縮された秋茄子を食べて残暑を乗り切りましょう。 
  


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Posted by きくいち at 10:12│Comments(0)季節の野菜と果実

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