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2013年03月17日

ガリの役目

寿司屋に行くと握りと必ず一緒に出てくるのが「ガリ」ですね。高級店から回転寿司まで必ず無料で提供されますが、なぜ「ガリ」が出されるのかご存知ですか?今回はこのことについて少し紹介したいと思います。

その前に生姜について少し話しておきます。生姜は多年草で、4月の中旬に植えつけ、葉が少し開いたところで、古根を残して収穫したのを「矢ショウガ/筆ショウガ」と言い、これは、焼き魚なんかに添えられてる酢漬けの「ハジカミ」がそうです。新しい根が少し大きくなったところを抜き取ったのが「葉ショウガ/谷中ショウガ」で、水分が多く、辛みが少ないですので、生食に適します。(東京の谷中が名産地でした)そして、根が十分に大きくなった秋に堀り出した塊茎が「根ショウガ/大ショウガ/土ショウガ」夏に早堀した「新ショウガ」(もやし生姜)、年を越した古根を「老成生姜(ひねしょうが)」と言います。生姜は太古から香辛料や薬として親しまれ、古い言葉で「はじかみ」と言うのです。

寿司屋で薄く切って甘酢に漬けたものを「ガリ」と呼びますが、これは柔らかい新ショウガが適してます。固く繊維質で、辛味が強い老成生姜は向きません。

ちなみに寿司屋の符牒ですが、なんで生姜をガリって呼ぶかといいますと、「生姜を刃物で薄く削るときにガリガリと音がするところからとか、食べる時の食感がガリガリするから」です。

ガリの役目

それでは、寿司屋におけるガリの役割とは…?
色々な役割が考えられます。例えば、脂の多い魚や濃い味のネタを食べた後に食することで、口の中をサッパリさせたり、魚の生臭さを消したりしてくれます。また、殺菌消毒の効果もあるようです。

ガリは生姜から作られますが、生姜にはジンゲロールという物質が含まれているそうで、そのジンゲロールは強い殺菌力を持っていて、刺身や寿司の薬味に生姜を使うことで生臭さを消したり、殺菌効果による食中毒の予防が期待できます。寿司ではガリは昔から出されていましたが、経験的な知恵として生姜の殺菌効果が知られていたようです。

ジンゲロールには二日酔いやつわりの吐き気を抑える効能もあるようですし、血行促進の作用もあり、身体を温め冷え症を改善してくれるのだそうです。昔から「風邪のひき始めにショウガ湯を飲む」と言われているのは、ジンゲロールの発汗作用で解熱効果が期待できるからなのです。だから温湿布等にも用いられ、生姜は民間薬としても重宝されてきたのですね。 

このように「ガリ」は寿司には欠かせない付け合わせであり、歯触りのよい食感に、さっぱりとした辛味と甘酸っぱい味がします。魚の臭みを消してくれるので、寿司を一貫食べた後につまむと舌が新しくなって次がおいしく食べられるのです。ガリを醤油につけ、それを寿司に乗せて食べる、という食べ方をしている人もいるくらいですから…(本当は正しい食べ方ではありませんが…)
 
夏場に出回る新生姜を大量に甘酢漬けにし、甘酢ではもちが悪いので、それを再び生酢に漬け直して一年間使う、などということはもう昔の話になってしまいました。今ではそんなことやってる寿司屋は稀でしょう。ガリ屋が手間無しの出来合いを、安く卸してくれますからね…でも作るのはとても簡単です。お好きな方は家庭で試してみるはどうでしょうか…?

ガリの作り方
1.皮をむいた生姜を薄くスライスします。(スプーンで引っ掻く様にむけば無駄が出ません)
2.熱湯にさっと通し、冷水にとりアク抜き
3.冷ました甘酢に漬けこむ(甘酢の基本的割合は、酢:カップ1、砂糖:大さじ5、塩:小さじ1/2)これに火を入れ調味料を溶かし冷ます)(砂糖の代わりに果糖もお勧めで、量が3分1くらいですみます)

三時間も漬けこめば食べれるようになります。
生姜がの赤い部分を一緒に入れれば、ピンクに仕上がりますし、入れなければ白ガリになります。ガリ屋が作る普通のガリは、甘すぎるだけでなく、このピンク色を着色してるケースが多いですね。

「ガリ」は醤油を「ムラサキ」酢飯を「シャリ」茶を「アガリ」と呼ぶのと同じ寿司屋の符牒ですので、本来はお客さんが使うべきではない言葉ですが、今日では普通名詞として一般化されているほど、なじみの深い物として浸透しているのですね。


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Posted by きくいち at 10:27│Comments(0)寿司ネタ

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