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2012年11月16日

秋の香りをたっぷりと「山形もって菊」

当店の屋号が「菊一」だからと言う訳ではないのですが…
秋の味として山形の「食用菊・もってのほか」は欠かすことのできない旬の食材です。 

菊の花弁を食べる習慣は、江戸時代から始まったとされ、日本の伝統的なエディブルフラワー(食用花)の1つです。(奈良時代に薬草として中国から伝わったとされています)山形県は食用菊の生産量で全国1位で、山形では秋の味覚として古くから食べられ郷土の味として親しまれてきました。

数ある品種の中でも、独特の香りと風味、味の良さ(ふっと甘くてほろ苦く)、美しさで「食用菊の横綱」と評価されるのが、淡い紫色の「もってのほか」です。正式には「延命楽」と呼ばれる品種ですが、県内では「もってのほか」という愛称で広く知られおり、この一風変わった名前の由来は、「天皇の御紋である菊の花を食べるとはもってのほか」とか、「もってのほか(思っていたよりもずっと)おいしい」といったことから転化したらしく、近年テレビのクイズ番組で、ユニークな名前をもつ食用菊として出題されてから、知名度は一気に全国区になりました。

秋の香りをたっぷりと「山形もって菊」
  
「もってのほか」は、食用菊の中では晩生で、収穫は10月下旬頃から。花弁が筒状に丸まった管弁なので、しゃきしゃきとした歯ざわりに特徴があります。(時期により早生モッテ、中モッテ、奥モッテとあり、だんだんと色が濃くなります。味は、中モッテが一番です)一方、黄菊は比較的柔らかく、色の華やかさで安定した人気があり、山形県では、「寿」「岩風」などの品種を作付けしているようです。また電照での抑制栽培、ハウス栽培などを導入、いくつもの品種を組み合わせて周年出荷を行っているようです。
  
食用菊は花弁の部分を食べますが、もってのほかの花弁は筒状になっているため、茹でても形が崩れず、しゃきしゃきとした歯ざわりが特徴です。サッと茹でた花びらを、和え物、おひたし、酢の物にしたり、そのまま、天婦羅や吸い物など、食べ方は様々です。茹でるときに酢を加え、歯ざわりを楽しむため、茹ですぎないのがコツ。淡い紫色の花弁が、茹でると鮮やかな紅紫色に変わり、料理の器の中で、野菜の緑色とのコントラストに映え、食卓に彩りを添えます。
実りの秋の食卓に、そのきれない彩りは、風雅な一品となります。体が綺麗になるようなほのかな香りと苦味、そして甘み、しゃきしゃきとした食感が楽しめます。また、リラックス効果があると言われ、古くから漢方薬などにも利用されています。
 
茹で方….
①先ずはじめに、菊の花びらをはずします。(中央部分の花弁が小さいところは使いません)
②鍋にたっぷりのお湯を沸騰させ色良く仕上げるためにお酢を少し(大さじ2~3ぐらい)入れます。
③菊の花弁を一気に入れて沸騰したら上下返すような気持ちで万篇無く火が通るように混ぜます。
 (あまり茹ですぎると、シャキシャキ感が失われるので、茹で過ぎないように…) 
④ざるに上げて、冷たい水に浸します。
 (独特の苦い風味があるので、気になる人はここで水にさらす時間を長く取り数回水を替えると苦味が和らぎます)
⑤水から上げて水気をしっかりと絞ります(良く絞らないと、料理したときに水っぽくなります)

ここまでできたらあとは、和え物にしたり、酢の物にしたり好みの味付けにナイス
和え物や酢の物にするときは具(菊)の量と和え汁のバランスがポイントです。水気を絞った菊の方に和え汁を入れて加減を見ながら和えるといいです。和え汁を入れすぎないように注意しましょう。 

ポイント…
①花の芯の部分は、苦いので除くこと。
②塩は入れません。酢は入れすぎると酸っぱくなるので、ご注意を…! 
③茹でる、というよりは、サッと湯に通すぐらいで花弁は、洗わないで茹でます。

美味しい食べ方
● 茹でてそのまま、胡桃醤油、胡麻醤油、ピーナツ醤油、辛子醤油で食べる。
● ぽん酢や土佐酢、甘酢などで食べる。
● ほうれん草や小松菜と一緒にお漬しにする。
● 茹でたほうれん草・しめじと一緒に、胡麻和えにする。
● 火を通したなめこと和えて、お漬しに。
● ちらし寿司、巻き寿司にあしらう。
● 味噌汁の具に。
● 天婦羅にする場合は、生のまま、一輪ずつ、衣をつけて揚げる。

1度で食べきれないときは茹で上がりを冷蔵庫に入れれば、1週間ほど保存できます。また、水を切って小分けに冷凍すれば、半年ほど保存できます。解凍は自然解凍で…お正月料理など、冬のメニューの彩りとして、重宝します。
 
「もってのほか」はしゃきしゃきとした歯ごたえと、ほのかな香り、そして甘さとほろ苦さは、秋にしか味わえない季節限定の大人の味です。エディブルフラワーの名前が登場するずっと昔から、菊は日本の代表的な食用花のひとつです。日本独特の繊細な味・伝統の味として、人々に親しまれてきた、まさしく「ふるさとの秋」…旬ならではの味です。


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Posted by きくいち at 09:30│Comments(0)季節の野菜と果実

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