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2013年10月31日

「初亀 純米吟醸 亀丸」入荷!

先日、購入してきたお酒をもう1本紹介します。「初亀 純米吟醸 亀丸」…お米にこだわるが、この酒のテーマです。

富山県南砺(なんと)産山田錦を純米大吟醸レベルの50%まで磨きあげ、南砺産山田錦の特徴を最大限に活かし秋の熟成を迎えました。自然と杯が進む酒は存在しますが、「本当に美味しい酒」と思えるのが、この「亀丸」です。これぞ!純米大吟醸に位置する旨さ!穏やかでいて、ナチュラルな銘酒「初亀」の秋の限定酒です。



【アルコ-ル度数】15~16゜、【日本酒度】 +4、【酸度】 1.3
【アミノ酸度】 1.05 、【原料米及び精米歩合】  富山県なんと産山田錦50%精米

富山県南砺産の山田錦を全量使用、丁寧に醸した季節限定の一回火入れ純米吟醸です。
火入れらしい、すっきりめの味わいながら、香りにも味にも力強さが感じられるあたりが、さすが初亀。口に含むと、軽快で穏やかな酸がまず顔を出しやがて純米吟醸らしいしなやかな旨みが静かに広がっていき、キリリとした口当たりのやや辛口です。後口は、さりげなく旨みが奥から返りやがてゆっくりとキレて行きます。全体的にさっぱりした印象で、香りは地味で控え目ですが、個人的に初亀に抱いている硬さや酸味は弱く、かなり飲みやすいです。

初亀酒造は静岡県の吟醸酒が全国区となるずっと以前から、大吟醸はじめ数々の酒が脚光を浴びて いました。岡部の地で酒造りを始めて百余年、常に酒質の向上に情熱を燃やし幾度となく金賞を受賞されています。(昭和52年に日本で一番高額な酒として当時の小売価格1万円の「亀」の発売に踏み切り、全国の蔵元の驚きをかった蔵でもあります)
初亀の故郷岡部町は、かって宿場町として栄えた風情あふれる町。南アルプスと、高草山に囲まれた閑静な地です。町を流れる朝比奈川には南アルプスの雪解け水が注ぎ、その清烈な流れが初亀の酒をより美味しく育みました。

この蔵のお酒の特徴は、大吟醸は大吟醸らしく、純米酒は純米酒らしく、それぞれ基本に忠実な造りをされる事です。それでいて、各々の酒質の高さは目をみはるものがあり吟醸クラスは言うに及ばず、普通酒の旨さと安定感にこの蔵の姿勢が反映されているのです。前杜氏の滝上秀三氏は全国的に有名で毎年一番出来の良い大吟醸のみ杜氏名で販売しています。
   

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2013年10月30日

三ケ日、酒と城を求めて…

友人の紹介で、三ケ日の酒房「なつめ」に行って来ました。
なつめ」さんは、お酒屋さんとカフェ、そして和風フレンチレストランまでが別棟にあるんです。奥浜名湖がカフェやレストランから望める、お店というより何か別荘のサロンみたいな感じがしました。

今回は時間がなくお酒だけ買ってきたのですが、次はレストランを予約してゆっくりと食事、カフェを愉しんできたいと思います。



ここは地元静岡の酒を中心に愛知県、関谷醸造の蓬莱泉シリーズのお酒を売っています。
こだわりの焼酎も各種あり、その中今回、店主に進められ購入してきたのが「麦冠情け嶋」です。



東京都八丈島、八丈島興発(株)さんの焼酎です。東京都で造られた焼酎ということで、何か不思議な感じがしますが、本土から遠く離れた八丈島で焼酎が造られるようになったのは、ペリーが浦賀に来航した頃、鹿児島のとある商人が八丈島に流罪になり、その商人が島人に焼酎造りを伝えたことがはじまりのようです。

当初は芋焼酎を造られていたようですが、しばらくして麦焼酎も造るようになったようです。八丈島興発(株)さんでは、日本に冠たる麦焼酎を八丈島で造るという思いを込めて、「麦冠」とつけられたようです。

麦麹(白麹)で常圧蒸留で造られた焼酎で栓を開けてみますと、麦の甘い香りが漂います。
個人的に好きな香りですニコニコもちろん呑んでみました…定番のロックで…にっこり口に含むと、麦の甘みが口の中にいっぱいに広がります。甘いですねにんまり麦の甘さをうまく引き出していると思います。甘みの強さは、店主も言ってましたが「兼八」よりあります。

常圧蒸留らしく、飲みごたえは十分あり、そして後味は麦の甘みとローストされた麦フレーバーのコラボです。この風味は久しぶりですびっくり麦チョコ風味がたまらなく旨く麦の甘みがす~っとなくなった後も、ロースト麦フレーバーの余韻は続きます。これだけ麦風味を長く味わえる焼酎は初めてです。

「麦冠情け嶋」は麦の甘みとロースト麦フレーバーが存分に味わえる、旨い焼酎だと思います。価格もリーズナブルですし、プレミアにならないことをだけを祈りたいですねウィンク

「兼八」のように麦チョコ風味を好まれる方なら、まず購入されても間違いない焼酎だと思います。本土から遠く離れた八丈島で、こんな旨い麦焼酎が造られているとは…びっくり

八丈島興発(株)さんには、これからもぜひ焼酎造りを頑張っていただきたいと思います。常備したい、お気に入りの麦焼酎の一本に加えましたナイス 

八丈島の焼酎の歴史(八丈興発HPより)…   続きを読む

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2013年10月29日

浜松街中おもてなし帖

浜松の美味しいものガイドブック「浜松街中おもてなし帖」が出来上がりましたおすまし

浜松の街中の老舗、名店の料理人の皆さんがの力をひとつにして、「日本一の美食の町、浜松」を目指し作り上げた小冊子です。個々の魅了を発信し皆様をおもてなしいたします。



「花街」千歳、「魚がし」肴町、「城下」田町…浜松の美食、銘店散歩を皆さんも是非、お楽しみ下さい。  

Posted by きくいち at 11:24Comments(0)大将

2013年10月28日

夜楽(知識と味覚を刺激する。秋の浜松で贅沢なひとときを…)

浜松街中の老舗・名店は「一つ」になって、「浜松の食&料理&おもてなし」のブランディングに取り組んできました。そして、今晩から、「夜楽」という面白い企画をスタートさせます。



各店が、浜松食材を元に、それぞれの店の特徴を生かした料理を提供し、地元の文化知識人を招いてお客様と有意義な時間を過ごしていただくのです…



当店での開催日は、11月14日(木)19時から
新酒と津軽三味線と寿司会席を愉しむ会」です。(会費8000円…土産付)
当日は、花の舞酒造の杜氏「土田一仁氏」の酒造りのお話と、沼津から「高岡みのりさん」にお越しいただいて津軽三味線を演奏をしていただきます。
地元商材を使った当店の料理とともにお楽しみ下さい。 


当日のメニューから…(浜名湖産スッポンと春野町地鶏の薬膳鍋)  

Posted by きくいち at 14:48Comments(0)大将

2013年10月27日

上品で綺麗なお酒…王紋 夢 純米吟醸

今日は酒米「五百万石」の傑作品「夢」 純米吟醸 を紹介します。
「夢」ブランドの純米吟醸、蔵元自信作。



新潟県の酒造好適米「五百万石」を高度に精米した吟醸造りの純米酒です。
雪原の澄んだ大気と飯豊山系の伏流水で仕込んだお酒は越後杜氏が誇る地酒の逸品注目
華やかな吟醸香と上品で綺麗な味わいが特徴で、フワッと膨らむ香り、スルスルっと口の中に入り、嫌味の無い柔らかな味わいが楽しめます。

■原料米:五百万石
■精米歩合:50
■アルコール度数:15%
■日本酒度:+4
■酸度1.4アミノ酸1.2
■淡麗辛口

酒造好適米「五百万石」を50%まで磨き上げ、長期低温発酵させた吟醸仕込みの純米酒です。穏やかなフルーティーな立含み香と純米吟醸らしい上品な酸味と甘味をお楽しみ下さい。(香りと味のバランスがとれた淡麗辛口なお酒です。淡泊な料理と、相性抜群です)

   

Posted by きくいち at 15:28Comments(0)

2013年10月26日

第四回職人市場in千歳

台風27号や活発な秋雨前線の影響で、まだ東日本を中心に断続的に強い雨が降っているようですが、今日は千歳の職人市場です。



楽市は中止になってしまいました、夜にはも雨あがりそうで、何とか開催されそうです。



今回は千歳店の前で「特製バラチラシ」を販売いたします(50個限定500円)
早くもご予約をいただいておりますが、数に限りがありますのでお早めにお買い求め下さい。  

Posted by きくいち at 11:40Comments(0)大将

2013年10月25日

花やフルーツの香りにたとえられる

本格焼酎のなかでは、すっきりと癖がなく飲みやすいことで人気のなのが米焼酎です。しかし、本格焼酎の入門編ともいえるさっぱり軽快なタイプから、伝統的な重厚タイプ、香り沸き立つ華やかなタイプまで、さまざまな味わいが存在するのも米焼酎の魅力のひとつです。日本酒に似る風味があるため、刺身などの繊細な料理との相性も実にいいのです。

米のあるところではどこでも造れる米焼酎、全国の清酒メーカーが造る米焼酎にも人気アイテムがありますが、主要生産地は熊本県南部の人吉盆地(人吉・球磨地方)です。人吉盆地で生産される米焼酎は特に「球磨焼酎」とよばれ、世界貿易機関のTRIPS協定に基づく産地表示の保護指定を受けていて、香りや味わいは日本酒に近くフルーティで、減圧蒸留の普及もあって初心者にも受け入れやすい焼酎です。

【米焼酎】…原料の米由来の上品な芳香と旨み、甘みが特徴です。低温仕込み、減圧蒸留により吟醸酒のような香りを持つ米焼酎も登場しています。素材そのもの味わいを楽しむ繊細な料理によくあいます。
 
そんな米焼酎の中から今日はお勧めの品を紹介します。

吟醸香の焼酎「鳥飼」は、全国や海外にまで熱烈なファンをもつことで知られています。世界が賞賛した香りと味わいは熊本県人吉市の小さな蔵から生まれました。鳥飼和信社長のもと磨かれた技術と自家培養の酵母によって生また世界品質の米焼酎「鳥飼」。世界中の銘酒を集めたコンクール「モンドセレクション’96」において、みごと特別金賞に輝きました。まさに、焼酎というカテゴリーを 超越した今注目の米焼酎のお蔵さんであるといえます。

 吟香 鳥飼  元祖吟香米焼酎

焼酎乙類 原材料 米・米麹 アルコール分 25度

「吟香鳥飼の命は華やかな香りと柔らかな味わいにあります。それは、永い年月に磨かれた技と自家培養の酵母によって生まれました。」 魅惑の吟醸香が素晴らしく、トロピカルフル-ツのような優しい香りと柔らかな味わいが特徴の米焼酎の傑作です。

封を開けると果実のような香りが広がり、これが焼酎なの?と驚くこと間違いなし!ツンとくるアルコールの刺激が全く感じられなく、味わいはソフトで舌にのせると、すっと切れます。アフターフレーバーも桃の香りのようにこれまた上品で磨かれた技術と自家培養の酵母によって生また世界品質の米焼酎と言っても過言ではありません。料飲店において、お客様に「吟醸酒」ですとお出ししても誰も疑わず、返ってきた大半の答えは、「キレの良いお酒ですね」。日本酒の口直しにお薦めです。

ちなみに、飲み方はそのままキンキンに冷やしてストレートかオン・ザ・ロックが美味しいですナイス   

Posted by きくいち at 16:48Comments(0)

2013年10月22日

第5回家康楽市…初出店

いよいよ今週末は「家康楽市」です。当店も今回、初出店。



当日販売予定の商品を一足先に紹介します。(5アイテム出品予定です)



変りいなりA(4個入り)…400円
(地鶏照焼いなり・海老天いなり・鮭そぼろいなり・蟹スティックいなり)



変りいなりB(4個入り)…360円
(わさび昆布いなり・梅ちりめんいなり・ひじきいなり・赤かぶ漬いなり)



洋風手巻きセット(3本入り)…390円
(レタス焼肉巻・ハムチーズ巻・蟹カマきゅうり巻)

うなぎいなり(4個入り)…400円

特製バラチラシ…360円

すべての商品は地元浜松産のお米を使用しています。
(浜松市北区細江町、野末倍由さんが生産してくれたお米です)
  

Posted by きくいち at 11:36Comments(0)菊一本店

2013年10月17日

「鰻と梅干」「蟹と柿」

以前、一緒に食べてはいけないと言われる「食べ合わせ」について紹介しましたが、辞書では「一緒に食べると害になるもの」とありますが、(実際に、この食べ合わせを避けている人も多いようです)本当にこの説は正しいのでしょうか…?

以前も書きましが「鰻と梅干は食べ合わせが悪い」と言われてきました。
医学的には、梅干は胃酸を濃くして、鰻の油分の消化を助けるので好ましく、食べ合わせの言い伝えには、根拠なし。
実際に、私も何人かの仲間と一緒に食べてみましたが、全員体調に何も異常はありませんでした。このことから鰻と梅干を一緒に食べたからといって、体調に悪影響を及ぼすといった、明らかな医学的根拠はありませんでした。

これはあくまでも迷信なのですニコニコでは、いったい何故そのような迷信が生まれたのでしょうか…?それには、いくつかの説が考えられます。

【ぜいたくの戒め説】
梅干は胃酸を分泌させ、食欲を増進させる。そのため、高価な鰻をたくさん食べることになる。
贅沢(ぜいたく)を戒めるために、生まれた言い伝えではないか…?

【過食の戒め説】
鰻も梅干も、食がすすむ食材です。脂っこい鰻も、梅干を食べながらだと口の中がスッキリして、つい食べ過ぎてしまうので、食べ過ぎを防ぐ意味で、言われたのではないか…?

【栄養の消失説】
梅干には、脂っこい食物をサッパリさせる性質があるので、体内で鰻の栄養分が消されてしまうのでは…と心配したため?

【食中毒の予防説】
鰻が腐っていたら、酸味がある。もし梅干しを一緒に食べると、梅の酸味のせいで、鰻が腐っていることが判らないため・・・?





このように、「食べ合わせの言い伝え」の中には、食べ物に敏感で、大切に考えた昔の人の知恵が詰まっているようです。  続きを読む

Posted by きくいち at 10:26Comments(0)菊一本店

2013年10月14日

なぜ寿司屋のお茶は粉茶なのか

今日は、寿司屋のお茶がなぜ粉茶なのかという事とお茶についてもう少し紹介します。
何度と無く紹介しましたが、もともと寿司は屋台で立ち食いするような安い食べ物でした。その頃、出されていたお茶が最も安い粉茶であったというのが、一番の理由です。

寿司屋のお茶は粉茶とされる。一説には、寿司屋がまだ低廉な食べ物であった時代、お茶にかかる経費を削減するために、最も安い粉茶を使ったのが起源だと言われています。粉茶は玉露などの高級葉茶のように香りが立たず、また、旨味も少ないので、それゆえにすしの持ち味を殺さないとして、価格とは別の理由でこれを使う向きもあります。 



荒茶から煎茶を作る工程で出る粉を集めたもので、茎茶や芽茶と共に出物と呼ばれています。煎茶を作る際に出る屑なので値段は安いのですが、粉が出た煎茶と同じものなので質的に劣るものではないです。なので、値段の割りには味の良いものが多いです。最近では上質煎茶からの粉茶の場合は値が張ることもあります。

美味しい理由は、粉なので茶葉の成分が溶け出しやすいためです。
色合いも鮮やかなことが多く、煎茶に比べ素早く濃いお茶を淹れることができます。

ただ、熱い湯で短い抽出時間で手早く淹れることができますが、逆にそれで一回淹れると全て出きってしまうので、通常の茶葉のように複数回淹れることができません。
 


寿司屋の湯呑…粉茶は熱い湯で入れる為、薄い湯呑茶碗だと厚くて持てません。また、屋台での商売の頃は、こまめにお客さんにお茶を供する手間を惜しみ、大きな湯飲みを用いたと言われ、かくて、寿司屋特有の分厚くて大きな湯呑み茶碗の伝統ができたのです。

寿司店の茶碗が肉厚で大きいのは、屋台からの名残で、こまめにお茶をつぎたす手間を省くという理由もありますが、もう一つは、粉茶は熱いお湯で入れないと香りが出ない為、薄い湯飲みでは茶碗が熱くて持てないというのも、肉厚の茶碗の理由です。

寿司の材料には海苔、すし米、山葵、生姜、お茶があります。寿司屋のお茶汲みは三年修行しなくてはいけないと昔から言われています。

【寿司屋のお茶の知識】・・・   続きを読む

Posted by きくいち at 11:27Comments(0)菊一本店

2013年10月10日

箱根路の入り口を護る「土の芸術」山中城 

静岡県のお城といえば、駿府城や掛川城、浜松城あたりが有名ですが、県内でもっとも遺構整備されているお城は三島市にある山中城(日本の百名城の一つで、浜松城は残念ながら選ばれていない)ではないでしょうか…?
先日、沼津に行った時、新幹線三島駅で下車し山中城まで足を伸ばしてきました。

 
(北条氏の築城技術を駆使して改修された山中城は歴史的価値が高く、昭和の初めに国指定の史跡に認定されると昭和40年代後半から約20年の歳月をかけて発掘調査や復元整備が行われた)

山中城は小田原の北条氏が、永録年間に築城したと伝えられている戦国末期の山城です。箱根山西麓の標高580mに位置し、自然の要害に囲まれた山城で、北条氏にとって、西方防備の拠点として、極めて重要な役目の城でした。豊臣秀吉と不仲になった北条氏政は、秀吉の小田原攻めに備え、急遽岱崎(だいさき)出丸や堀を整備・増築しましたが、未完成のまま、4万の豊臣軍の総攻撃を受け北条軍は僅か4千で必死の防戦の甲斐なく、鉄砲と圧倒的兵力の豊臣軍の前に、わずか半日で落城したと伝えられています。(岱崎出丸で討死したこの時の城将・松田康長や、副将・間宮康俊、豊臣方の一柳直末ら武将の墓が、三の丸にある宗閑寺境内にあります)



山中城は石垣を使っていない珍しい山城で、堀や土塁が良く残っており、発掘調査を基に、400年前の遺構を忠実に環境整備、現状保存されています。特に障子堀や畝堀の発見は、水のない空堀の底に畝を残し、敵兵の行動を阻害すると言う、北条流築城術の特徴を示すものとして注目を浴びています。戦国期の山城の全貌をここまでしっかり伝えている遺構は他には無い、と言っても過言ではないでしょうね…ひみつ



戦国時代の城は近世城郭のような魅せる城とは異なり目的が非常にシンプルです。敵の進軍を防ぐ為に、必要最小限の地形の改造をした城で、石垣も天守もありません。(防衛の最前線となる岱崎出丸や西の丸には、北条流築城術の特徴ともいえる障子掘や畝堀が無数に設けられています)



山中城は三島から国道1号を箱根に向って登って行く途中にあります。正確には城跡が国道によって分断されていて、東京方面を向いて左側が本丸、二の丸、西の丸といった城の本体部分、国道右側には岱崎(たいざき)出丸とよばれる旧東海道に沿った長い出丸が存在しています。(国道が通過している辺りが、双方を繋ぐ三の丸だったようです)
 
これから先は「山中城跡案内板」よりニコニコ

(田尻の池)
東側の箱井戸と田尻の池とは、一面の湿地帯であったが、山中城築城時、盛土(土塁)によって区切られたものである。山城では、水を蓄える施設が城の生命であるところから、この池も貴重な溜池のひとつであったと考えられている。しかも、西側は「馬舎」と伝承されているところから、この城の馬の飲料水、その他に用いられたものと推定される。築城時の池の面積は約148平方メートルであり、あふれた水が三の丸堀に流れ出ていたようである。


(三の丸堀跡)
三の丸の曲輪の西側を出丸まで南北に走るこの堀は、大切な防御のための堀である。
城内の各曲輪を囲む堀は、城の縄張りに従って掘り割ったり、畝を掘り残したりして自然地形を加工していたのに対し、三の丸跡は自然の谷を利用して中央に縦の畝を設けて、二重堀としている。
中央の畝を境に、東側の堀は水路として箱井戸・田尻の池からの排水を処理し、西側の堀は空堀として活用していたものである。この堀の長さは約180m、最大幅約30m、深さは約8mを測る。

 
(西の丸)
西の丸は3400㎡の広大な面積を持つ曲輪で、山中城の西方防御の拠点である。
西端の高い見張台はすべて盛土をつみあげたもので。ここを中心に曲輪の三方をコの字型に土塁を築き、内部は尾根の稜線を削平し見張台に近いところから南側は盛土して平坦にならしている。
曲輪は全体に東へ傾斜して。東側にある溜池には連絡用通路を排水口として、雨水等が集められるしくみである。自然の地形と人知とを一体化した築城術に、北条流の一端をみることができる。


(西の丸見張台から…)
西の丸見張台は下から盛土によって構築されたものである。発掘の結果、基底部と肩部にあたる部分を堅固にするために、ロームブロックと黒色土を交互に積んで補強していることが判明した。
標高は約580mで、本丸の矢立の杉をはじめ、諸曲輪が眼下に入り、連絡・通路上の重要な拠点であったことが推定できる。


(西の丸堀)
西の丸堀は、山中城の西方防備の拠点である西の丸にふさわしく、広く深く築城の妙味を発揮しており、堀の末端は谷に連なっている。西櫓と西の丸の間は、中央に太い畝を置き、交互に両曲輪にむかって畝を出しているが、西の丸の北側では東西に畝をのばして堀内をより複雑にしている。このように複雑な堀の構造は、世に伝えられる「北条流堀障子」の変形であり、学術上の価値も高いものである。


(本丸堀と櫓台)
本丸と二の丸(北条丸)との間の本丸西堀は、土橋によって南北に二分されている。北側の堀止めの斜面にはV字状の薬研堀が掘られ、その南側に箱堀が掘られていた。堀底や堀壁が二段となっていたので、修築が行われ一部薬研堀が残ったようである。なお、箱堀の堀底からは兜の「しころ」が出土した。
土橋の南側は畝によって八区画に分けられ、途中屈折して箱井戸の堀へ続いている。堀底から本丸土塁までは9メートルもあり、深く急峻な堀である。堀の二の丸側には、幅30~60センチの犬走りが作られ、土橋もこの犬走りによって分断されていたので、当時は簡単な架橋施設で通行していたものと思われる。一般的に本丸の虎口(入り口)は、このように直線的ではないが特別な施設は認められなかったので、通行の安全上架橋とした。  


(出丸御馬場跡)
山中城の出丸は、通称岱崎出丸と呼ばれ標高547~557メートル、面積2万400平方メートルに及ぶ広大な曲輪であり、天正17年(1588)秀吉の小田原征伐に備え、急ぎ増築された曲輪である。
ここは古くから御馬場跡と伝承され、土塁で東側と北側を守り、西側は深い空堀につづき、南側は急峻な谷で囲まれた岱崎出丸最大の曲輪である。
曲輪内は、本丸と同様式の二段構築でつくられている。建物跡については確認されなかったが、土塁上からは田方平野を眼下に見渡すことができ、出丸防衛上の拠点であったものと推定できる。


(岱崎出丸「一の堀」)
第9次発掘調査(昭和56年度)により検出された一の堀は、出丸全域を鉢巻のようにめぐるのではなく、先端のすり鉢曲輪から西側の中腹を箱根旧街道の空堀まで続くものである。第9次調査では、指定地内の約150メートルの間に、17 ヶ所の畝を確認することができた。完堀された一の堀の第三区画はローム層を掘り下げて畝を残し、70度前後の傾斜角をもってたちあがっている。したがって堀底からすり鉢曲輪の土塁までは、斜距離18~20メートル前後の急峻な勾配がつくわけである
 

(すり鉢曲輪)
  
山中城は箱根の入り口を守る要衝でしたが、秀吉の北条討伐ではたったの一日で落城してしまいました。やはり多勢に無勢、ということでしょうか…おすまし
城址そのものはかなり整備されていて、現存というよりは相当の規模で復元改修されたものになっていますが、北条のハイテク築城術はたっぷり味わえます。石垣は一切使っていなくて、土塁・空堀中心の城なのですが、とくにその堀は障子堀・畝堀などの技巧が「これでもか」というくらい全面的に使用されていて、北条の城作りに対するコンセプトや土木技術が十分に堪能できます。よく「典型的中世山城」とか言われますが、この城はそうではないと思いますよ。いわゆる典型的な中世山城は、山頂の曲輪を中心に急斜面や尾根、谷などの自然地形をフル活用した要害であるのが普通なのですが、この城はもちろん標高はそれなりに高く、自然地形も十分に生かされてはいますが、山頂ではなく山腹の傾斜地に作られていること、尾根を断ち切る堀切などの遺構が少ないことから、自然地形に頼ったというよりはむしろ人工的な普請によって要害を構築している、と言えます。要害性よりもむしろ主要街道を取り込む事の方が優先度が高く、また防備の主体が西側に置かれていることから、平時は街道交通を取り締まる番城、非常時は西からの侵攻に対する箱根防備の最前線、というコンセプトがはっきりしています。

まあ理屈はともかく、一度訪れて見てください。駐車場もあるしよく整備されているし、景色もいいし、余計な模擬天守もないし、何より「土塁と堀だけでこんなに多彩な城ができるんだ!」という驚きと感動がきっとあるはずです。   

Posted by きくいち at 16:36Comments(0)趣味

2013年10月08日

盲目の旅芸人達が始めた門付け芸(津軽三味線)

先日、次回の酒の会の余興をお願いしに、沼津まで行って来ました。(次回の酒の会は、津軽三味線の演奏を愉しんでいただきます)今日はその時に色々、話を聞いてきましたので、津軽三味線の歴史等を一部を紹介しますおすまし

津軽三味線はそもそも、青森県津軽地方で盲目の旅芸人達が始めた門付け芸で、彼らは坊様(ボサマ)と呼ばれ長く蔑まれていたようです。(津軽三味線の楽曲の原型は、新潟地方の瞽女(ごぜ)の三味線と言われる)家々の軒先で三味線を弾き歩き、米やお金を貰って歩いたそうで、やがて民謡の旅まわり一座などで弾かれるようになり、名人達の手によってより発展したのだそうです。
 
昭和40年代の民謡ブームで一世を風靡、それまで単に「津軽もの」などと呼ばれていたこの三味線音楽を、三橋美智也らが「津軽三味線」と名付けられ全国へ普及し、民謡の伴奏楽器から、三味線のみの独奏としても弾かれるようになっていったようです。

本来は単なる伴奏楽器として、観客に見えないように舞台袖で演奏するものだったようですが、時代が下るにつれ、三味線のみで演奏する前奏部分(前弾き)が独奏として独立したのだそうです。そして、高橋祐次郎らのグループ「風」を筆頭に、舞台芸術として、一般に向けた合奏団形式のコンサートが演じられるようになり、津軽三味線の持つ役割が脇役から主役へと転じていきました。 現代では独奏楽器としての側面が強調され、吉田兄弟らの若手奏者が独奏主体の演奏スタイルを確立しているようですが、津軽三味線の特徴のひとつである、即興での伴奏(唄づけ)が出来ない奏者も多くなってきているらしく、これを憂う声も多く聞かれているとか…?

 

このように、津軽三味線は盲人芸なので本来は楽譜はありません。(現在は譜面があります)即興で演奏します。約束の中決まったフレーズなど構成を変えて弾いて行きます。同じ曲でも演奏者によって内容は違い、また、弾く度に内容が変わります。ジャズやブルースのようです。「津軽じょんから節」をひとつとっても演奏者によって構成が違う訳です。そこが津軽三味線の魅力のひとつだと思います。演奏方法は、撥を皮に叩きつけるように弾いたり、掬ったりしながら、その合間に指で押したり、はじいたりします。

三味線には、細棹、中棹、太棹があります。それぞれさおの太さが違い、津軽三味線はもっとも太くて重い、太棹(ふとざお)を使います。門付けされていた頃は細棹や中棹が使われていたそうです。

 

津軽三味線の音色は地吹雪を想わせるような音。ある時は雪をも溶かす炎のように力強く、人間の悲遇な運命に立ち向かうよう音でもあります。そして時には、か細く透き通る音や、妖艶な響きを奏で、明るく楽しい音であったり、また、風や海、自然音を描写し、大地を賛美する…津軽三味線の音色には様々な表情があります。
 
演奏楽曲は、主として津軽三大民謡(津軽三ツ物)、および五大民謡(五ツ物)。三大民謡とは、「津軽じょんから節」「津軽よされ節」「津軽小原節」を指し、五大民謡とはこれに「津軽あいや節」「津軽三下がり」を加えたものだそうで、これらの演奏は、基本的にすべて即興で行うようです。独奏や前奏に限らず、唄の伴奏(唄づけ)においても唄い手の即興に応じた演奏をしなければならないため、唄づけの際には高度な知識と技術が要求されているのですびっくり

最後に気になる三味線の価格ですが、市場価格はごく一般的なもので、およそ20万円から40万円ほど、中級クラスで50万~80万円、非常に高級なものでは500万円を超えることもあるそうですが、そのような場合、音質よりも工芸品的価値が優越することが多いとか…?

専業の演奏家では特に消耗が激しく、数年おきに買い換えることが多いため、演奏家が舞台で現実に使用する三味線は、おおむね200~300万円程度が上限であると言われていますが、これもまた個人により差が大きいとのことです。
 
11月14日(木)搾り立て新酒と旬のお料理、そして津軽三味線…皆さん期待していて下さいねナイス
 

   

Posted by きくいち at 11:00Comments(0)大将

2013年10月06日

自家製ジンジャーエール

生姜のスパイシーな風味と、炭酸の喉越しがクセになる「ジンジャーエール」。実は、家庭で簡単に手作りできるんです。今日は自家製ジンジャーエールの作り方を少しを紹介します。

生姜を煮出してシロップを作り、炭酸と割る作り方…必要な材料は以下の通りです。
(生姜、水、グラニュー糖、レモン汁、固形クローブ、シナモンスティック、鷹の爪)

 

皮をむき、薄切りにした生姜を、レモン汁以外の材料と15分ほど弱火で煮ます。レモン汁を加えてから少し強火にし、沸騰したら火を止めて、あら熱をとります。最後に保存用のビンに移して、一晩から1週間弱ほど冷蔵庫に入れておけば完成です。 お好みの割合で炭酸水と割ればジンジャエールの出来上がり。、「シロップ4:炭酸水6」の割合がお勧めです。

自家製のジンジャエールは生姜の風味と香りが活きてきます、紅茶、豆乳、牛乳などと割っても美味しいですよ。
ポイントは生姜を薄切りにするか丸ごと擂り卸すかして香りを出すことです。(擂り卸した生姜を使う場合は加熱後笊で濾して下さい)



煮出しよりもう少し手軽な作り方に「はちみつ漬け」があります。材料は生姜、はちみつ、シナモンスティック、クローブ、鷹の爪(とうがらし)、レモン汁です。作り方は以下の通りです。
1.ショウガをスライスし、ビンに詰める
2.スパイス投入する
3.はちみつをひたひたになるまで投入。レモン汁も入れる
4.一晩以上漬けこめば完成(火を使わずに簡単に作ることができます。飲むときは、甘みのないソーダ水で割りましょう)

炭酸まで手作りする方法もあります。作り方は、あらかじめぬるま湯で溶かしておいた少量の砂糖とドライイースト、擂り卸した生姜をペットボトルに詰め、常温で8時間放置するだけです。(蓋を開けた瞬間、ジンジャーエールが吹き出すおそれがあるので注意してください)

ジンジャーエールを使ったカクテルには「ジン・バック」「モスコー・ミュール」などのメジャーなメニューから、「マミー・テーラー」「スマイリング」といった珍しいものまで、さまざまなカクテルがあるので、ぜひ挑戦してみてください。



以前紹介しましたが、ジンジャーエールは料理にも使うことができます。鶏肉などをジンジャーエールや玉葱、ニンニクと煮込むと香りと甘みがアップします。

ジンジャーエールでクラッシュゼリーを…ジンジャーエールにゼラチン、水を加えるだけで「ゼリー」が完成します。固めたゼリーをスプーンもしくはフォークで砕いてクラッシュゼリーにし、フルーツと盛り付けるのもいいと思います。
暑い季節は特においしく感じるジンジャーエール。まだまだ蒸し暑い毎日ですが、皆さんも是非自分だけのジンジャーエールを作ってみてください。
  

Posted by きくいち at 16:48Comments(0)菊一本店

2013年10月02日

天然子持ち昆布

お酒のつまみにも最高な子持ち昆布。あの卵は昆布の卵なのでしょうか?
まさか…ガーン。昆布は藻類だから胞子で増えるんですよね。だからもちろん昆布の卵でも子供でもありません。実はニシンの卵なんですね。ニシンの卵、要するに数の子ですね。だからおいしいのです。子持ち昆布についてる卵は数の子ですが、これははじめからその状態で海の中にあるものではないんです。

ニシンは産卵期には沿岸に押し寄せ、産卵を行いますが、その時に、産卵場所に生える昆布に卵が付着することがあります。ニシンの卵は粘性卵なので昆布など海藻に粘り付いてしまいこれが子持ち昆布になるのです。自然もなかなか粋なことをしてくれます。「よろこぶの昆布」と「子だくさんの数の子」と合わさった子持ち昆布を作ってくれるなんて…。 



しかし、現在では国内でのニシンの漁獲量が少なくなりカナダなどで人工的に産み付けさせ生産しているようです。

子持ち昆布を作るにはニシンの産卵期を狙って自然の昆布を海中に用意し、産卵間近になっているニシンに向ってぶつけるように追い込みます。そうすると、囲い込まれたニシンはぶつかってきたものに対して産卵行動を起こす性質を持つため昆布に産卵してくれるのです。(ニシンの卵は粘着性が強いため、昆布によく付きます)

人が手作業でつけていると思われがちですが、実は人の手で作っているのではなく、自然の性質を利用して作られているものなんですね。今ではこの方法が主流になりました。すこし微妙な感じがしますがこの方法で採取したものを天然物と呼んでいます。また、「吹きつけ加工」で作った完全に人工の物が存在します。

しっかり卵が付いているものが上質とされています。
  

天然子持ち昆布

隙間無くびっしり数の子が付いた子持ち昆布が上物です。
子持昆布は正月料理に使われそうでいて、数の子みたいにはあまり使われない食材です。子孫繁栄の縁起物数の子、喜ぶの昆布、めでたい同士が二つもひっいてる食べ物なんでもっと使われてもよさそうなものですけどね。

子持ち昆布を使った料理


天然子持昆布は、強塩がしてあります。カットして水に浸けて塩抜きします。(味付けは数の子と同じかやや薄め)
出汁醤油煮付け小口に食べやすいように切って糸がきを天盛にしてお酒のおつまみに… 

子持ち昆布の握り寿司も…ナイス中か外に糸ガツオを挟んで。

若芽などと和えて前菜や小鉢などでも使います 

子持ち昆布の揚物…飛龍頭の具にして揚げてみるのもいいですね。
木綿豆腐を潰して、野菜と混ぜて揚げ、野鳥肉を模したものの中に子持昆布を小さく賽の目に切って入れて、揚げるだけです。フライにして串を打つと、楽しげな串揚げに仕上がります。

この料理のミソは芯まで火を通さない事です。プチプチした子持昆布の食感が失せては台無しですから。
  

Posted by きくいち at 10:11Comments(0)寿司ネタ