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2013年06月14日

似て非なる不思議系食品…心太と寒天

寒天というと、ダイエット食品や健康食品というイメージを持っている人が多いと思います。ここ数年はテレビ番組などで寒天の特集が組まれ、放送翌日にはどのスーパーでも「品切れ」の札を掲げたところが続出、ネット販売でも品薄の状態が続いたほどの寒天ブームが起こったりしました。

寒天と同じく、透明でプルプルした食感の心太ですが、実はこの二つ、見た目は似ていても異なるものである事を知っていますか…?その決定的な違いは、心太から寒天は作れても寒天から心太は作れないのです。

心太は、天草やオゴノリなどの海藻類をゆでて煮溶かし、発生した寒天質を冷まして固めた食品で、それを「天突き」とよばれる専用の器具を用いて、押し出しながら細い糸状(麺状)に切ったものです。(寒天を天突きで押し出したものを心太と思っていたいた人もいたのでは…?)

似て非なる不思議系食品…心太と寒天

心太は、奈良時代に中国からの遣唐使によって製法が伝わり、平安時代には一般的に食されるようになったのだとか。(、一説には、正倉院の書物に心天と記されていることから、奈良時代にはすでに、「こころてん」、または「心太」と呼ばれ、その存在が確認されていたようです。約1300年も前に存在していたことは驚きとともに、まさに、日本の伝統食品であると言えるのでは…びっくり
 
似て非なる不思議系食品…心太と寒天

一方寒天は、江戸時代初期、京都府伏見の旅館「美濃屋」の主人が、冬の戸外に捨てた「心太」が凍結し、日中は天日により水分が溶け出し、夜にまた凍る…これを繰り返すうち、乾物となり、これで心太をつくったところ、美味しいものができた。それを隠元禅師に試食してもらったところ、精進料理として活用できると称され、同時に「寒天」と命名されたと言われています。

その後、この製法は寒くて乾燥している地方にも伝えられ、農家の副業として広まっていったのです。紅白の「角寒天」なる棒状の寒天を農家の軒先で見かけたはありませんか…?

寒天は「糸(細)寒天」であり、他にも「角寒天」や「粉末寒天」などお馴染みの寒天があります。
また、乾物としての寒天のみではなく、あんみつやみつ豆に用いられる四角のゼリー状のものを「寒天」とも呼びますし、和菓子や駄菓子でも「寒天ゼリー」があります。
このように「心太」というのは「寒天」のなかの「ゼリー」の一種であり、細長く天突きで突かれた固有の形状をしているもの限定の固有名詞と理解するのが正しいと思われます。

そんな寒天と心太ですが、基本的にそのまま食べればノンカロリー、食物繊維やカルシウムなどが豊富に含まれたヘルシーフードです。 
 
全体の98-99%が水分で、残りの成分のほとんどは多糖類です。ゲル状の物体ですが、ゼリーなどとは異なり表面はやや堅く感じられ、独特の食感があります。腸内で消化されないため栄養価はほとんどありませんが、食物繊維として整腸効果があります。
関東以北および中国地方以西では二杯酢あるいは三杯酢をかけた物に和辛子を添えて、関西では黒蜜をかけて単体又は果物などと共に、東海地方では箸一本で、主に三杯酢をかけた物にゴマを添えて食べるのが一般的なようです。(醤油系のタレなどで食べる地方もあります)

全国の体重に悩む人々…ダイエット食のレパートリーのひとつとして加えてみてはいかがでしょうか…。また、これから迎える夏の食卓に添えることで一種の涼みにもなるので、暑い夏を楽しみたい方にもお勧めです


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Posted by きくいち at 11:26│Comments(0)お酒のつまみ

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