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2013年05月29日

すし屋の作法

このところ京都の話題が多かったのでたまには、すし屋らしい話題を…
すし屋に来てよく「すしの作法」をうるさく語るお客さんがいますが今日はその事について一言…。

すし屋の作法

江戸時代末期、すし屋は安い露店か料亭ばりの店舗を構える店とに完全に別個の商法として分化し、人々はそれぞれの身分と懐具合によって双方を使い分けていたと言われています。

すし屋の屋台はもっぱら夜のもので、日没と同時に辻々で店を開き元来が夜の商売である上に、銭湯帰りや酔客などが小腹が空いた時に、ちょっと一、二個つまむ。このように屋台のすしは大衆的なものだったのです。

それに対して、立派な店舗を構えた料亭風のすし店はお客さんを座敷に上げ、酒を供し、調理場で作られた物を運び、個室で食べさせていたのです。(したがって、客と料理人が顔を合わせるという事はなかった)

このように完全に分離していたかに見えた二つのすし屋の商法が、大正以降衛生面や道路整備などから屋台が都市から追い出され、それまでの屋台商人も店を構える事を余儀なくされました。

他方では、注文に対して目の前ですしを握ってくれるやり方は、すでに大衆の人気となっていた為、固定店舗を構えるすし商も、その流れに逆らえず、その結果として現在のような屋台と店舗をドッキングさせた店が誕生したのです。

以前であれば個室の中で、自分の好きな食べ方が出来た旦那衆たちも、今度は店の中に設置されたカウンターで他の客と袖摺り合わせて、すしを食べる事となり、この頃から、自分達の特権階級を誇示するために、いかにも正統派的な「小うるさい作法」が出来上がったと言われています。したがって、すし屋の作法とは、どの食べ方が本筋であるかと論ずること自体無駄と言えるのです。例をあげれば、すしを手づかみで食べるか箸でたべるかも、前者は屋台の食べ方で、後者は座敷での食べ方の違いにすぎないのです。


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