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2013年05月30日

「渚の貴婦人」繊細で美しい魚(鱚)

キス(鱚)は繊細で美しい魚です。昔は江戸前の代表的な魚の一つでしたが、最近は漁獲量が減って人々の関心から遠ざかりつつあります。夏の料理には欠かせない上品な軽い味の魚なのにもったいないことですね。

体色は海底の砂に似た淡黄灰色で、腹は銀白色をしていて、20~30cm前後のものが多く、そのスマートなスタイルから「渚の貴婦人」や「海の貴公子」、また、「ゆかた美人」や「海のアユ」などと古くから形容されています。

「渚の貴婦人」繊細で美しい魚(鱚)

初夏から初秋にかけて産卵する為、餌をよく摂るようになるので美味しくなり、餌を摂る為に水面近くに集まってくるので釣り人には楽しい気分が味わえます。一般に彼岸前後が旬と言われ、春~初秋の献立に登場いたします。又、魚編に喜ぶを綴った字を宛がっておめでたい献立'正月料理他、お祝い事'にも使われます。

魚種はシロギスとアオギス(ヤギス)が主に店先に並びますが、普通にキスと呼ばれるのはシロギスの方です。シロギスは背が淡い黄色で体長30cm程度、アオギスは背が青みがかっていてり50cmぐらいまで育ちます。味はシロギスのほうが繊細でクセがなく美味しいです。 

北海道以南から台湾やフィリピン近海まで広く分布していて、水が澄み岩礁帯が入り混じる砂泥底に棲み、秋から冬は水深40~50mの深場で過ごしています。(日が落ちて暗くなると砂に潜り眠り、朝日が出て明るくなると起き出すマジメ魚です)
産地としては九州以北、ほぼ全国に分布していますが、水質汚染に弱く、日本近海では漁獲量が激減しています。そのかわりに韓国から冷凍ものが多く輸入されるようになりましたが、冷凍にすることによって味が落ちます。シロギスは20cmまで成長するのに5年かかると言われているので、養殖もむずかしいでしょう。

「渚の貴婦人」繊細で美しい魚(鱚)

沿岸魚の代表格がキスで、昔は日常の食材として天麩羅、塩焼き、酢の物として献立に致しましたが、昨今は他の魚種が豊富に手に入る事、待っていた旬の魚からは、ちょっと離れている魚の為、家庭料理からは珍しい魚になってしまいました。しかし、食べ方は洋風、中華風にと変化をつけて楽しむ事も出来る、下ごしらえで手間いらずの魚です。くせがなく、白身で、食べ易い大きさがいいですね。また晩春から夏にかけてが旬と言われていますが、一年を通してあまり味が変わりません。(脂質が1%と非常に少ないのが特徴。また、アミノ酸の中ではリジンやグルタミン酸が多いのが、 あっさりとした旨みの基になっています。水分が多いのでうまく水分を抜いて調理した方が美味しいです)
 


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Posted by きくいち at 16:29│Comments(0)旬の魚

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